- 保険は得をするために入るものではないからこそ、「選び方で損をしない」知識が必要だという考え方
- 民間保険の要否を自分で判断できる4つの基準
- 40代公務員の我が家が保険料を月3万円→8千円にした実際の見直し内容
保険の見直しに専門家は要りません。「公的保障・貯蓄・家計へのダメージ・保険料の総額」の4つを確認する知識があれば、必要な保障は自分で選べます。
保険を見直したい。でも無料相談に行くと営業されそうで怖い。そんな理由で、加入時のままの保険料を払い続けていないでしょうか。
私も最初は、営業マンに言われるがまま月3万円の保険に入っていました。保障内容もよく理解しないまま、です。
その後、公的保障を調べ直して自分で見直した結果、夫婦2人で月8千円まで保険料を下げました。生活の満足度は何も変わっていません。
この記事では、資産9000万円を築く過程で私がたどり着いた「保険で損しないための判断基準」を、実際の見直し内容とあわせて解説します。
保険は得をするために入るものではない
まず前提を1つ共有させてください。保険で得はできません。
保険は加入者みんなでお金を出し合い、困った人に渡す相互扶助の仕組みです。そこから保険会社の人件費や広告費が引かれる以上、加入者全体では必ず払った額より受け取る額が少なくなります。
宝くじと構造は同じです。違うのは、当たる場面が「不幸」だという点だけ。
では保険は不要かというと、そうではありません。保険の役割は、人生が破綻するほどの損失を防ぐことです。自分が死んで家族が生活できなくなる。車の事故で数千万円の賠償を負う。貯蓄では到底対応できない損失にだけ、保険で備えます。
問題は、この線引きを知らないまま保険を選ぶと損をしやすいことです。必要以上の保障、割高な複合商品、使わない特約。保険で損をするかどうかは、商品よりも選ぶ側の知識で決まります。
保険は得をするために入るものではないからこそ、営業マンや無料相談に判断を預けるのではなく、自分で判断できる基準を持つことが大切です。この考え方は家計全体の設計にもつながります。土台となるお金の管理方法は「家計管理の方法|初心者でも挫折しない仕組みの作り方」でまとめています。
必要な保障を選ぶ4つの基準
私が保険の要否を判断するとき、確認するのは次の4つです。
| 基準 | 確認すること | 判断の目安 |
|---|---|---|
| ① 公的保障 | 公的保障でカバーできないか | 不足分だけ民間で補う |
| ② 貯蓄 | 貯蓄で対応できる金額か | 払える損失に保険は不要 |
| ③ 破綻リスク | 起きたら家計が破綻するか | 致命的な損失にだけ備える |
| ④ 保険料総額 | 生涯の総額に見合う価値があるか | 月額でなく人生単位で見る |
順番に説明します。
基準①:公的保障でカバーできないか
最初に確認するのは、公的保障でどこまで補えるかです。
日本の社会保障は手厚くできています。医療費には高額療養費制度があり、一般的な収入なら月の自己負担は9万円前後で頭打ちになります。会社員や公務員なら、病気で働けない期間には傷病手当金も出ます。
死亡時には遺族年金があります。私の場合、自分や妻に万一のことがあれば子供に、遺族年金が支給される計算でした。
「民間保険ありき」ではなく、公的保障で不足する部分だけを民間で補う。順番はこれが正解だと考えています。
基準②:貯蓄で対応できる金額ではないか
次に、その損失は貯蓄で払えるかを確認します。
私は医療保険に入っていません。高額療養費制度がある以上、入院しても自己負担は貯蓄で十分対応できるからです。実際に日帰り入院や妻の出産で給付金を受け取った経験もありますが、「これは保険でもらうほどの金額ではないな」、「医療保険を毎月払ってまでこの金額をもらう必要はないな」というのが率直な感想でした。
資産が増えるほど、自分のお金でカバーできる範囲は広がります。つまり保険の必要性は、資産形成が進むにつれて下がっていくものです。
基準③:起きたら家計が破綻するリスクか
すべてのリスクに備える必要はありません。備えるべきは「起こったときのダメージが致命的なもの」だけです。
数十万円の出費なら家計は壊れません。一方、一家の収入源を失う、数千万円の賠償を負う、火事で住まいを失う。この規模になると貯蓄では守り切れません。
判断の軸は「起こる確率」ではなく「起こったときの深刻さ」です。確率が低くても、起きたら人生が終わるリスクにこそ保険を使います。
基準④:生涯で払う保険料に見合う価値があるか
最後に、保険料を「月額」ではなく「生涯の総額」で見ます。
月1万7千円なら年間約20万円。30年続ければ600万円です。月払いだと小さく見える保険料も、人生単位に引き直すと車1台どころではない金額になります。
その600万円を保険会社に払い続ける価値があるのか。それとも投資や教育費、家族との思い出に使った方が人生は豊かになるのか。私は常にこの天秤で判断しています。
安心を突き詰めると際限がありません。しかしお金は有限です。どこまでを保険で備えるか、線引きは自分で決める必要があります。
我が家の見直しビフォーアフター
4つの基準で、我が家の保険は実際にこう変わりました。
| 保険 | 見直し前 | 見直し後 | 主な変更点 |
|---|---|---|---|
| 生命・医療・年金保険 | 月3万円(独身時代) | 月8千円(夫婦2人分) | 医療保険ゼロ、年金保険は解約 |
| 自動車保険(2台) | 年9万6千円 | 年5万8千円 | 車両保険を外す |
| 火災保険 | 年1万円 | 年4千円 | 必要最小限のプランに変更 |
| 年間合計 | 約50万円 | 約16万円 | 年34万円を投資へ |
生命保険:必要保障額を自分で計算した
保障額は感覚で決めていません。親のどちらかに万一のことがあった場合の収入減、子どもが成人するまでの養育費、そこから遺族年金などの公的保障を引いた「不足額」を計算し、その分だけ死亡保障をかけました。
医療保険はゼロです。基準②の通り、貯蓄と高額療養費制度で足りると判断しました。
自動車保険:車両保険を外した
自分の車の修理代は、基準③の「家計が破綻するリスク」ではありません。修理代は貯蓄で払う。貯蓄で直せない車は、そもそも身の丈に合っていないのだと思います。
対人・対物の賠償は無制限のまま残しています。ここは何かあった際に必要な額が数千万円規模になり得る、保険で備えるべき本丸です。
火災保険:賃貸向けの最小限プランへ
賃貸の火災保険も、契約時に管理会社に勧められた保険に入っていましたが、調べてみると割高でした。同じ保障内容でもっと安い保険もありましたので、保証内容も見直し、自分で探した保険に入り直しました。
個人賠償責任保険は自動車保険や火災保険の特約で足りるため、単独では入っていません。
結果として生活の質は何ひとつ変わらないまま、年34万円が投資資金(余剰資金)に変わりました。固定費の見直しがこれほど効率がいい理由は「固定費削減で人生が変わる理由|我慢ゼロで年間48万円浮かせた方法」でも書いた通りで、一度の見直しで効果が半永久的に続きます。保険とあわせて通信費も見直すなら「スマホ代を月10,000円→2,000円に。実際にやった格安SIM乗り換え」が参考になります。
私の失敗:年金保険を16年払い続けた
正直に書くと、見直しが遅れて損をした保険もあります。個人年金保険です。
毎月1万円、16年間で約200万円を払い込みました。解約時に元本割れはしませんでしたが、ほぼ増えてもいませんでした。
同じ16年間、同じ金額を低コストの投資信託に積み立てていたら。そう考えると、毎年の保険料控除では到底埋まらない機会損失だったと感じています。
貯蓄型保険や年金保険の中身は、実質的に「保険+割高な投資信託」です。短期の元本割れリスクは加入者が負い、長期投資の果実は保険会社と分け合う構造になっています。
リスクに備えるなら掛け捨ての保険、お金を増やしたいなら投資。手法をシンプルに分けて、複合的な商品には手を出さない方が無難です。
見直しの手順:今日からできる3ステップ
ステップ1:加入中の保険をすべて書き出す
保険証券を集めて、商品名・保障内容・月額保険料を一覧にします。私はここで初めて「自分が何に入っているか説明できない」ことに気づきました。
ステップ2:公的保障を調べる
高額療養費制度、傷病手当金、遺族年金。自分の勤務先の制度も含めて、もらえる金額の目安を確認します。公務員なら共済の保障も忘れずに。
子育て世帯なら、子どもが独立するまでに必要な教育費もこの段階で見積もっておくと、必要保障額の計算が現実的になります。教育費の目安についても今後、記事でまとめたいと思っています。
保険や社会保障の知識にまったく自信がない人は、FP3級の勉強をしてみるのも1つの方法です。保険・年金・税金といったお金の基礎知識を網羅的に学べます。1〜2ヶ月程度の学習で合格を狙える資格なので、これから家計管理を始める人の最初の一歩としてちょうどいい分量です。私自身もFP3級を取得しており、保険を自分で判断する土台になっています。
ステップ3:4つの基準で1本ずつ判定する
書き出した保険を、①公的保障②貯蓄③破綻リスク④保険料総額の4つに当てはめて、残す・減らす・解約するを決めます。
判断に迷う保険は、たいてい「あれば安心」レベルのものです。破綻リスクに該当しないなら、外す方向で考えて問題ないと思います。
まとめ
- 保険は得をするために入るものではない。人生が破綻する損失にだけ備え、選び方の知識で損を防ぐ
- 要否は「公的保障・貯蓄・破綻リスク・保険料の生涯総額」の4基準で自分で判断できる
- 我が家は年間保険料を約50万円→約16万円にしたが、生活の満足度は変わらなかった
浮いた保険料は、そのまま将来の自分と家族のためのお金になります。私の場合、この差額が投資に回り、サイドFIRE後の生活費の支えになる予定です。FIRE後にいくら必要かの考え方は「FIRE後の生活費はいくら?リアルな支出を全公開」で試算しています。
まずは今夜、保険証券を引き出しから出すところから始めてみてください。
