前回の「投資で大失敗しなかった理由|地味な選択を続けてきただけです」では、大失敗はしなかった理由についてお話ししました。ただ、大失敗がないことと、後悔がないことは別の話です。今回は、私が投資を続けてきた中で今でも思い出す「やらなかった後悔」について、具体的な銘柄と数字を交えてお話しします。
- 「あの時買っていれば」と後悔している具体的な銘柄と価格差
- 底値を待ちすぎてしまった当時の心理と、その背景にあった判断力の限界
- 「高く買ってしまうリスク」だけでなく「待ち続けて買えないリスク」があるという気づき
- 考え方を変えたあとに実際に買えた銘柄と、今の買い増し候補リストの運用方法
買えなかった銘柄、いくつもあります
優待銘柄を中心に投資していた頃、購入候補としてチェックしていた銘柄がいくつもありました。配当と優待を合わせた総合利回りに魅力を感じ、購入するタイミングをうかがっていたのですが、結果的に多くを買えないまま株価が上昇してしまいました。
当時「このくらいなら買いたい」と考えていた価格と、現在の株価を並べてみます。
- エスコン(8892):200円 → 約1100円
- 鈴木(6785):500円 → 約3000円
- スクロール(8005):270円 → 約1760円
- 八洲電機(3158):500円 → 約3000円
- 共和コーポレーション(6570):500円 → 約4300円
- ミライト・ワン(1417):800円 → 約3550円
- タマホーム(1419):520円 → 約2900円
これはあくまで「当時買いたいと思っていた価格」と現在の株価を単純に比較したもので、実際に保有していた場合の利益を計算したものではありません。それでも、これだけ並べてみると「あの時買っていれば」と思う気持ちが強くなります。
特に印象に残っているのがタマホームです。2016年12月27日の終値は520円でした。株主優待もあり、配当と優待を合わせた利回りに魅力を感じて購入を検討していました。共和コーポレーションも同様で、500円程度での購入を考えていましたが、現在は4300円を超えています。当時のIRを見返すと、業績自体は堅調に推移していたのですが、私はそこまで踏み込んで確認できていませんでした。
「もう少し安く」と待ち続けた理由
根拠なく「まだ下がる」と思っていたわけではありません。理論株価を確認しながら、それまでの株価の動きを見て購入希望価格を決めていました。ただ、今振り返ると「一円でも安く」という意識が強く働いていたと感じています。
当時の私は、企業分析については今ほどできていませんでした。今後の成長力や、その価格が本当に割安なのかを評価する力が不足していたのだと思います。だから「この価格なら十分魅力的だ」と自信を持って判断できず、「次に安くなったら買おう」という感覚的な待ちになっていました。結果的に、この感覚的な判断が購入機会を失うことにつながりました。
企業を分析する力があれば、520円というタマホームの株価が割安かどうかを、もっと根拠を持って判断できたはずです。実際には根拠が弱いまま「もう少し待てば、もっと有利な価格で買えるかもしれない」と考え、購入を先送りしていました。買った直後に株価が下がることを避けたいという気持ちもあったと思います。
今振り返ると、銘柄選びを間違えたわけではありません。判断の根拠が弱いまま、底値を狙いすぎたことが一番の反省点です。
底値を待つことの本当のリスク
投資というと「高く買ってしまうリスク」を意識しがちですが、私が経験したのはむしろ逆でした。待ち続けているうちに買うタイミングを逃してしまう、という「買えないリスク」です。
株価の底は、その時点では誰にもわかりません。自分なりに企業を調べて「この価格なら十分魅力的だ」と判断したのであれば、さらに安くなるのを待ち続けるのではなく、そこで買っておくことも大切だと今は考えています。
7銘柄を振り返ってみても、共通していたのは「銘柄選びのミス」ではなく「待ちすぎたこと」でした。そしてその背景には、当時の私に企業を評価する力が足りていなかったという事情がありました。この2つの気づきが、今の投資判断を大きく変えるきっかけになりました。
今は「一部だけ先に買う」を実践しています
以前は「500円になるまで買わない」という発想で、価格の下限をかなり厳しく設定していました。今は「500円にならなくても、600円で十分魅力的なら買う」という考え方に変わっています。
最初から全額を投入する必要もありません。まだ下がる可能性があると思えば、最初は一部だけ購入し、さらに下がれば追加で買うという方法もあります。企業の業績や財務を確認したうえで割高だと感じる銘柄まで、無理に買うことはしません。
大切なのは、「もっと安く買えるかもしれない」という理由だけで、買うこと自体を先送りしないことです。
こうした判断ができるようになるまでには時間がかかりました。投資を始めたばかりの頃に何から手をつけるべきかは、「投資初心者は何から始めるべきか?最短ルートを解説」でまとめています。
待たずに買えた銘柄もあります
考え方を変えてから、以前の自分なら待っていたはずのタイミングで買えた銘柄もあります。
ハピネット(7552)は2022年2月16日に793円で購入しました。株主優待もあり、当時の配当と優待を合わせた総合利回りが悪くなかったことが決め手です。現在の株価は3660円。その後株式分割もあり、今後の成長も楽しみな銘柄の一つになっています。
ENEOS、オリックス、ライオン、サカタインクス、四国銀行、ひろぎんHD、山口FG、ヒロセ通商なども、振り返ってみると良いところで買えた銘柄です。
このうちオリックスやJT、トリドールHDは、コロナショックで市場全体が下落した局面で買ったものでした。相場全体が下がっている時は、割安な価格が向こうからやってきます。一方で、ハピネットのように通常時に自分の判断で買って、その後に含み益が出ている銘柄は、少し違う意味を持ちます。暴落を待たずに、自分で「この価格なら買える」と判断できたという事実が、少し自信につながりました。
暴落は数年に一度しか来ません。その間ずっと待ち続けていたら、投資できる機会はほとんどないことになります。
買い増し候補リストの運用
今は購入候補にしている銘柄がこの水準まで下がったら買いたい、というリストを常に作って管理しています。配当入金時や株価が下落した時には、そこから選んで買い増しをする運用です。
以前との一番の違いは、リストに載せる価格の決め方です。以前は「できるだけ安く」を基準にしていましたが、今は業績・財務・配当方針を確認したうえで「この価格なら十分魅力的だ」と言える水準を基準にしています。根拠のない底値ではなく、根拠のある妥当な価格を設定することを意識しています。
こうしておくことで、下落局面で慌てて判断する必要がなくなりました。あらかじめ決めていた価格に達したら、迷わず買う。この仕組みを作ってから、以前のように「もう少し待とう」と先送りすることは減りました。
完璧な買い場より、行動すること
これから投資を始める人には、まず自分が無理なく投資できる金額を決めて、少額からでも実際に市場に参加してみることをおすすめします。私自身、買いたいと思っていた銘柄を「もう少し安く」と待っているうちに、結果的に大きく上昇してしまった経験が何度もあります。
すでに買い場を待ちすぎている人は、なぜその価格になるまで待っているのかを一度考えてみてください。「この企業は割高だから待っている」のであれば、その判断を続ければよいと思います。一方で「もっと安く買えるかもしれない」という理由だけで待っているなら、一度考え直してみる価値があります。
買った後に株価が下がることを、必要以上に恐れないことも大切です。投資した理由が変わっていないのであれば、株価が下がったことだけで慌てて売る必要はありません。この考え方は、「FIREで後悔する人の特徴5選|40代公務員が備えている5つのこと」で書いた判断軸にもつながっています。
ただ、市場全体が大きく下げる局面では、それでも冷静さを保つのは簡単ではありません。暴落時にやってはいけない行動については近日公開予定の「暴落でやってはいけない行動5選」で、私自身がどう乗り越えたかはその後公開予定の「暴落を乗り越えた方法|メンタルと行動の全て」でお話ししたいと考えています。
買えなかった7銘柄を振り返って思うのは、底値を当てられなかったことではありません。自分がチャンスだと判断した時に動けなかったこと。それが、これまでの後悔から学んだ一番の教訓です。
