- 新NISAを始めるまでの流れと、事前に準備しておくもの
- 口座開設でつまずきやすい箇所と、その避け方
- つみたて投資枠と成長投資枠で最初に何を買うかの考え方
新NISAを始めるときの一番の壁は手続きの難しさではなく、「難しそう」という先入観です。
オルカンとS&P500の違いはわかった。それでも、まだ口座を開いていない。
そんな状態で止まっている人は少なくありません。商品の知識を増やすことと、実際に口座を開くことのあいだには、思ったより深い溝があります。
私は2013年、株式投資がまったくの未経験だった状態でSBI証券の口座を開きました。40代公務員として13年以上投資を続けていますが、当時感じていた不安の大半は取り越し苦労でした。手続きそのものは、案内に沿って入力するだけで終わります。
新NISAを始めるまでの流れは4ステップ
制度そのものの中身は『新NISAとは?初心者が知るべき基本と始め方【2026年版】』で整理しています。ここでは、口座がない状態から実際に買い付けるまでの動きだけを追います。
ステップ1:金融機関を選ぶ
NISA口座は1人1口座と決まっています。複数の金融機関で同時に持つことはできません。
年単位での変更は可能ですが、手続きには手間がかかります。最初の選択はある程度慎重にしたほうが後が楽です。
見るべきなのは、取扱商品の数、売買手数料、クレカ積立の還元率の3つ。銀行や対面の証券会社より、ネット証券のほうが取扱本数が多く、コストも低い傾向があります。
私がSBI証券を選んだのは2013年です。ネット証券のなかで手数料が安く、取扱商品も豊富だったことが決め手でした。
2021年には楽天証券も開設しましたが、メイン口座は今もSBI証券のままです。13年以上使ってきて、制度の変更やサービスの拡充にも対応してきたため、口座を移そうと考えたことは一度もありません。
両方を長く使ってきた立場からの比較は、8月末に別記事としてまとめる予定です。
ステップ2:口座開設を申し込む
ネット証券なら、申し込みから完了までオンラインで完結します。証券総合口座とNISA口座を同時に申し込める会社がほとんどです。
入力するのは氏名、住所、職業、投資経験といった項目。専門知識を問われる場面はありません。
税金の扱いを選ぶ画面で手が止まる人もいます。会社員や公務員であれば「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでおけば、売却益が出ても証券会社が納税まで済ませてくれます。私もこの設定です。
2013年当時は、マイナンバーカードによる本人確認が今のようには完結せず、書類のやり取りに数日かかりました。現在はスマホでの本人確認に対応しており、早ければ翌営業日から取引できます。
ステップ3:投資する商品を決める
新NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠の2つがあります。年間の上限はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円。生涯で使える枠は合計1800万円です。
つみたて投資枠で買えるのは、金融庁の基準を満たした投資信託に限られます。長期の積立に向かない高コストの商品は、この時点で除外されている状態です。
似た名前のファンドがいくつも並んで迷ったときの見分け方は、『投資信託の比較方法|似た商品の違いをどう見分けるか』で保有商品を並べて解説しています。
ステップ4:積立設定をする
毎月の金額と引き落とし方法を決めれば設定は完了です。あとは指定日に自動で買い付けが続きます。
金額は後から変更できます。最初から上限いっぱいを狙う必要はありません。
口座開設前に準備しておくもの
手続きを止めずに進めるために、申し込む前に手元へ揃えておきたいものが3つあります。
本人確認書類とマイナンバー確認書類。マイナンバーカードが1枚あれば両方を兼ねられます。持っていない場合は、通知カードや住民票の写しと、運転免許証などの組み合わせが必要です。
引き落とし用の銀行口座。すでに持っている口座でも手続きは進みます。ただ、証券会社と相性のいいネット銀行を選んでおくと、開設したあとの運用がぐっと楽になります。
SBI証券なら住信SBIネット銀行、楽天証券なら楽天銀行です。私はどちらの証券口座を開いたときも、対応する銀行口座を同時に用意しました。
証券口座を開くところで満足せず、お金をどう入れてどう管理するかまで決めておきたかったからです。
住信SBIネット銀行のSBIハイブリッド預金は、銀行に置いたままのお金がSBI証券の買付余力に反映される仕組みです。楽天銀行のマネーブリッジにも、証券口座の資金が不足したときに自動で振り替える機能があります。
買いたいと思った日に入金を忘れていて注文できない。連携しておけば、この手の足踏みが起きません。
私が連携のありがたさを感じるのは、株価が大きく下がった場面です。買うと決めた瞬間に資金移動から始めなければならないと、判断が鈍ります。
もっとも、これは私が個別株を買い増すやり方をしているからです。毎月自動で積み立てるだけなら、資金を多めに置いておく必要はありません。自分の投資方針に合わせて、買いたいときにすぐ動ける状態を作っておけば十分です。
優遇の条件や金利は見直されることがあります。申し込む前に、各金融機関の最新の案内を確認してください。
クレカ積立を使うならクレジットカード。証券会社ごとに対応するカードが決まっているため、事前に申し込んでおくと設定までが一度で終わります。
ポイント欲しさに投資先を決めるのは本末転倒です。とはいえ同じ金額を20年積み立てるなら、決済で受け取れる還元を無視する理由もありません。
私が積立の中心をSBI証券に戻したのも、クレカ積立の還元制度に魅力を感じたことも要因の一つでした。この設定の詳細は、後日、あらためて記事にまとめます。
ただ、還元を追いかけた結果として困っていることもあります。私は途中で楽天キャッシュ決済のポイントを目当てに積立の一部を楽天証券で実行し、新NISAの開始に合わせて再びSBI証券で積立をするようになりました。
買った投資信託は売れば税金がかかるため、そのまま保有を続けています。その方が投資効率も高いからです。その結果、同じような中身のファンドを2つの証券会社にまたがって持つことになりました。
還元率は年に何度も変わります。そのたびに乗り換えていると、資産の全体像がだんだん見えにくくなる。最初に1つ選んで腰を据えたほうが、管理はずっと楽です。
つまずきやすい3つの箇所
手続き自体でつまずく人はほとんどいません。止まるのは、その手前と、そのあとです。
つまずき1:「難しそう」という先入観
2013年の私がそうでした。証券口座なんて自分に開設できるのだろうか、と本気で不安に思っていました。
そこで初心者向けの雑誌を1冊買い、全体の流れを頭に入れてから申し込みました。実際に始めてみると、Webサイトの案内どおりに入力するだけ。あの1冊がなくても開設できたと思います。
一番のハードルは手続きではなく、始める前の自分の思い込みでした。
つまずき2:比較しすぎて始められない
還元率0.5%と1.0%の差は、月10万円の積立で年6千円です。決して小さくはありません。
ただ、その差を調べているあいだに半年が過ぎたとしたら、失っているのは6千円ではなく、半年分の運用機会そのものです。
完璧な条件を探し当ててから始めた人より、そこそこの条件で早く始めて続けた人のほうが、結果として資産を増やしています。13年見てきて、そう感じます。
つまずき3:人気ランキングだけで商品を選ぶ
ランキング上位の商品が、そのまま自分に合うとは限りません。
自分がなぜその商品を選ぶのかを言葉にできないまま買うと、値下がりしたときに続ける理由を見失います。売るか買い増すかの判断が、そのときの気分に左右されてしまう。
避け方はひとつです。まず口座を開き、少額から始めながら、自分に合う方法を見つけていく。方針は走りながら固めていけば間に合います。
口座開設後、最初に何を買うか
つみたて投資枠:オルカンを選んだ理由
私はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を積み立てています。
最初からオルカンに決めていたわけではありません。新NISAが始まる1年以上前から、特定口座でオルカンやS&P500、気になったインデックスファンドを実際に買い、値動きを並べて見ていました。
そのうえで、特定の国や地域に集中するより世界全体の成長を取り込む考え方が自分には合っていると判断しました。
成長投資枠:資産成長と配当収入で使い分ける
成長投資枠では、旧NISAの非課税期間が終わって売却となった個別株を買い直しました。特定口座で持っていた高配当株も、配当を非課税で受け取れるメリットを取りに、銘柄を選びながら移しています。
2024年に新NISAへ切り替わったとき、私の側でやった手続きはありません。旧NISA口座がそのまま新NISA口座に移行されました。
新しい商品を探して方針を変えたわけでもありません。13年続けてきた「資産成長を狙う投資」と「配当収入を得る投資」という2つの目的に、2つの枠を割り振っただけです。
私が始めたころは、今よりずっと不便だった
2013年に私が使い始めたのは、新NISAではなく一般NISAです。年間の投資枠は100万円。つみたてNISAはまだ存在していませんでした。
インデックスファンドを毎月自動で積み立てるという選択肢がなかったため、私は個別株を買う目的でNISAを使いました。口座開設のあと、まず証券口座に100万円を入金し、この枠でどの銘柄を買うかを考えるところからのスタートです。
毎月一定額が勝手に引き落とされて買い付けが進む今の形とは、かかる手間がまるで違いました。
枠は当時の3倍以上に広がり、非課税で持てる期間の制限もなくなりました。設定さえ済ませれば、あとは動かさなくても積立が続きます。今から始める人は、私が使っていたころより明らかに有利な制度を使えます。
13年かけて今の形になった
私は優待株から投資を始めました。そこから高配当株へ広げ、インデックス投資を学んだのは後になってからです。
現在は高配当株を中心に約170銘柄を保有しています。ただ、これは胸を張れる数字ではありません。買い増すうちに増えすぎて、決算の確認だけでもまとまった時間がかかるようになりました。今は銘柄数を絞る作業を進めています。
最初から今のスタイルが決まっていたわけではない、ということです。何を買うかで止まっている人は、『投資初心者は何から始めるべきか?最短ルートを解説』のほうから読んだほうが早いかもしれません。
まとめ
- 口座開設の手続きは、案内に沿って入力するだけで完結する
- 完璧な条件を探すより、少額でも先に始めたほうが結果は良くなりやすい
- 投資方針は、続けながら固めていけば間に合う
ネット証券には、窓口で相談できないという弱点があります。何を買うかを最後に決めるのは自分自身です。それでも、手数料の低さと商品の選択肢の広さは、長く続けるほど効いてきます。
投資未経験だった私でも口座を開き、13年以上続けてこられました。まずは口座を開設するところから始めてみてください。
