資産が9000万円まで増えても、お金の不安は消えませんでした。ただ、不安の中身は大きく変わりました。
私は40代の公務員です。13年間投資を続け、2027年3月にサイドFIREを予定しています。 資産が9000万円に届いた頃の支出と資産の内訳をもとに、消えた不安と残った不安を振り返ります。
数字は、資産が9000万円に届いた頃のものです。現在は1億円に届きそうなところまで来ています。FIRE後の支出や現金の計画は、すべて現時点の予定・シミュレーションです。
- 資産9000万円で消えた不安と、残っている不安
- 実測の年間支出約550万円と、FIRE後に想定している年450万円の違い
- 不安をゼロにせず「対応できる範囲」を数字で決める方法
資産9000万円で消えた不安と、残った不安
消えたのは「増やし続けなければ」という焦り
9000万円に届いて最初に薄れたのは、資産を増やし続けなければという焦りでした。
以前は、給与からできるだけ投資に回し、資産の総額を増やすこと自体に意味を感じていました。 このまま働き続ければ、資産はおそらく増え続けます。昔の私なら、それを素直に喜んでいたはずです。
考え方が変わったきっかけは『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス著)でした。 お金はあとから増やせても、過ぎた時間は取り戻せません。子どもが小さい今、この考え方は重く響きました。
必要以上のお金を稼ぐために、時間を使い続けるのが本当に最適なのか。 9000万円という数字を前にして、初めて真剣に考えました。
残ったのは、FIRE後の生活を長く保てるかという不確実性
いま一番大きい不安は、FIRE後の生活を何十年も維持できるかどうかです。
生活費、年金、取り崩し、運用利回り、現金の保有額。調べれば分かることは、ほぼ調べ尽くしました。 それでも、相場とインフレには正解がありません。
FIRE直後に株価が大きく下がるかもしれません。想定以上に物価が上がることもあり得ます。 逆に、運用環境が想定より良くなる可能性もあります。
「もっと低い利回りなら」「もっとインフレが進んだら」と、確率の低いケースまで検証を重ねても、未来は確定しません。 今は、不安がなくなるまで準備するのではなく、ある程度のリスクを受け入れたうえで、どこまでなら対応できるかを考えています。
変わらなかったのは、生活水準と家計管理の習慣
資産が9000万円になっても、暮らしはほとんど変わっていません。 年間支出は実測で約550万円。資産が増えたからといって、生活費を大きく増やしてはいません。
支出の把握、不要なものを買わないこと、固定費の見直し。 どれも以前から続けていることです。投資に回せるお金は、今も資産形成に回しています。
変わったのは、お金を使うときの心理です。 以前は、まとまった支出のたびに「この出費で資産形成の計画が遅れないか」と気になっていました。 今は、家族との経験に使うお金に、以前ほど迷いがありません。
この変化は、資産が7000万円を超えた頃から少しずつ始まっていました。その頃の気持ちの動きは「資産7000万円で見えた世界|数字だけでは分からなかったこと」に書いています。
3つを並べると、不安は消えたのではなく、種類が変わったと言えます。 「お金がなくなる不安」から、「正解のない未来にどう備えるか」という不安へ移りました。
FIREにいくら必要かの計算方法は、私の前提条件とあわせて「FIREに必要な資産はいくら?4%ルールは古い」にまとめています。
資産9000万円の内訳と、生活費で見た「年数」
内訳は株式・投資信託が約6割、現金が約4割
| 資産 | 金額 | 割合 |
|---|---|---|
| 株式・投資信託 | 約5500万円 | 約6割 |
| 現金 | 約3500万円 | 約4割 |
| 合計 | 約9000万円 | ― |
現金約3500万円は、次の2つに分けています。
- 生活防衛費:1500万円(確保済み)
- 住宅購入などに使う予定のお金:約2000万円
生活防衛費とは、収入が減っても生活を続けるために、投資とは別に確保しておく現金のことです。
株式・投資信託の中身や配分は、「資産9000万円のポートフォリオ公開|配当・成長・取り崩しでサイドFIREを実現する方法」で公開しています。
生活費に換算すると16〜20年分
9000万円と聞くと多く感じます。ただ、年間支出で割ると印象が変わりました。
| 前提 | 年間支出 | 9000万円で何年分か |
|---|---|---|
| 現在の実測 | 約550万円 | 約16年 |
| FIRE後の想定 | 約450万円 | 20年 |
FIREしてから公的年金を受け取り始めるまでには、長い期間があります。 運用益を考えなければ、資産だけでその期間を乗り切れるほどの余裕はありません。
だからこそ、FIRE後も運用を続けながら、必要な分を取り崩す計画にしています。 年450万円という想定の内訳は、「FFIRE後の生活費はいくら?リアルな支出を全公開」で詳しく書いています。
「対応できる範囲」を3つの数字で決めている
未来を予測できない以上、私は備えを3段に分けています。
| 備え | 数字 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 生活防衛費 | 1500万円(想定支出の約3.3年分) | 確保済み |
| 支出の圧縮 | 年450万円 → 年300万円以下 | 緊急時のみ |
| 生活のための仕事に戻る | その仕事で月10万円を得れば、資産からの取り崩しは年450万円から年330万円に減る | 最後の選択肢 |
生活防衛費は、年450万円の3年分なら1350万円で足ります。 1500万円にしたのは、余裕を持たせるためと、暴落時に株を買い増す余力にするためです。株価が下がっても、株を売らずに3年以上暮らせます。
支出は、大暴落で見通しが立たなくなれば、娯楽費を削って年300万円以下まで下げられます。 ただ、その水準では家族旅行もほぼ諦めることになります。そこまで我慢してFIREを続けるつもりはありません。
年450万円のシミュレーションは、FIRE後の収入をゼロとして計算しています。 サイドFIRE後も、好きなことで収入を得る活動には挑戦するつもりです。そこで得た収入は、取り崩しを減らすプラス要素として考えています。
ただ、支出をそこまで削らないと暮らせない状態になったら、生活のための仕事に戻ります。そこは覚悟しています。
その場合も、フルタイムに戻る必要はないと考えています。 生活のための仕事で月10万円、年120万円を得られれば、資産から取り崩す額は年450万円から年330万円に減る計算です。
「資産が◯万円を切ったらFIREをやめる」という線は、今は決めていません。 相場の状況、資産の減り方、年齢、年金によって、判断が変わるからです。
住宅購入後も、現金1500万円を残す計画
住宅は約3000万円で購入を検討しています。 住宅購入に使う予定のお金は約2000万円なので、約1000万円足りません。
足りない分は一時的に生活防衛費から出し、退職金などで現金が増えた分で埋め戻して、購入後も1500万円を残す計画です。
この計画は、退職金などの入金が前提です。暴落時に株を買い増せる余力も、購入前より小さくなります。この2点は今も気がかりで、住宅購入後に残る不安だと考えています。
振り返って後悔していること
貯めることを優先しすぎた
大きな失敗というほどではありません。ただ、もっと早くから「使うこと」も考えておけばよかったと思っています。
13年間、「今使うより、投資に回して将来増やしたほうがいい」と判断する場面が多くありました。 支出を抑えて投資に回した期間があったから、9000万円に届きました。その判断が間違いだったとは思っていません。
それでも、子どもが今の年齢で一緒に旅行できる時間は、あとから買い戻せません。 資産が増えてから行く旅行と、子どもが小さい今行く旅行は、同じ金額でも中身が違います。
貯めること自体が目的になると、今の時間を削ってしまう。 9000万円まで来て、ようやく気づいたことです。13年間の資産の増え方は「13年で資産9000万円達成|リアルな資産推移と再現性ある投資戦略」で公開しています。
回避するには、貯める計画と同時に「使う計画」を立てる
今から始めるなら、毎月の積立額を決めるときに「何年後に、何に、いくら使うか」も一緒に決めます。 私の場合は、子どもが小さいうちの家族旅行や体験がそれにあたります。
資産形成を続けながらでも、今しかできない経験には、もっとお金を使ってよかった。 資産9000万円は、増やすことと使うことのバランスを考え始める転換点でした。
不安と付き合うための3ステップ
ステップ1: 資産を生活費の「年数」に換算する
まず、今の資産を年間支出で割ってみましょう。 私の場合は、9000万円÷550万円で約16年でした。金額より年数のほうが、自分に足りるかどうかを判断しやすくなります。
ステップ2: 現金を目的ごとに分ける
現金は、目的ごとに分けて考えましょう。 私の場合、現金約3500万円のうち1500万円を生活防衛費、約2000万円を住宅購入などに使う予定のお金として分けています。暴落時の余力は、生活防衛費のうち3年分を超える約150万円です。
ステップ3: 「ここまでなら対応できる」を先に決める
支出をどこまで下げられるか。月にいくら稼げば、取り崩しがどれだけ減るか。 この2つを書き出しておきましょう。私の場合は、支出を年300万円以下まで下げられることと、生活のための仕事で月10万円を得れば取り崩しを年330万円に抑えられることの2つです。
お金と時間の使い方について、この先さらに考えたことは、近日公開予定の「お金より大切だと気づいたこと」で書く予定です。
退職直前の気持ちは、今後「FIRE退職まであと3ヶ月|今の本音と最終決断」でまとめる予定です。
まとめ
- 資産9000万円で消えたのは「増やし続けなければ」という焦り。残ったのは、相場とインフレという正解のない不安
- 生活水準は年約550万円のまま。変わったのは、お金を使うときの迷い
- 生活防衛費1500万円、支出を年300万円以下まで下げる余地、生活のための仕事に戻る選択肢。この3つで「対応できる範囲」を先に決めている
資産を最大化することも、仕事を完全になくすことも、私の目的ではありません。 お金と時間をどう使えば、家族と自分の人生が充実するのか。その答えを探しながらFIREに挑戦することが、家族の幸せへの近道になるのではないかと考えています。
まずは、今の資産を年間支出で割ってみてください。何年分あるかが分かると、不安のうち数字で埋まる部分と、埋まらない部分が見えてきます。
