子育てしながらFIREを目指す理由|退職を一度延期して気づいたこと

FIRE戦略

子育て中にFIREを目指すのは、子どもが小さい今の時間を家族で過ごし、後悔のない人生にしたいからです。ただ、家族の誰かが不安を抱えたままでは、その目的は果たせません。私は一度決めた退職を、1年先に延ばしました。

「子どもがいるのに仕事を辞めていいのか」と、自分でも何度も考えました。教育費、収入が減る不安、周りからの見られ方。迷いは今も残っています。

私は40代の公務員で、妻と3歳の子どもの3人家族です。資産は約9000万円。2027年3月の退職に向けて準備を進めています。延期に至った経緯と、2027年3月の退職を決め直すまでに考えたこと。迷った点も含めて振り返ります。

このの記事でわかること
  • 子どもが生まれて、FIREの目的が「早く辞める」から「家族の時間」に変わった過程
  • 「もっと資産を増やしてから」と迷ったときに判断材料にした数字
  • 退職を一度延期して気づいた、家族で同じ方向を向く意味

FIREへの願望は以前からあった。でも目標はなかった

子どもが生まれる前から、FIREへの憧れはありました。仕事を辞めたかったわけではありません。

生活のために働き続けるしかない状態から、少しずつ距離を置きたい。時間の使い方を自分で選べるようになりたい。そんな気持ちでした。

ただ、いつまでに、いくらで、という目標は決めていませんでした。投資は続けていても、FIREは「いつか実現できたらいい」くらいの存在です。

元々の動機と資産の状況は「資産9000万円の40代公務員がサイドFIREを決意した理由と戦略」で詳しく解説しています。漠然とした願望が具体的な計画に変わったのは、子どもが生まれてからでした。

育休の1年で知った、子ども中心の暮らし

子どもが生まれた2022年、私は1年、妻は1年半の育休を取りました。

生まれたばかりの赤ちゃんの世話は、夫婦二人がかりでも大変です。毎日が子ども中心に回っていました。

それでも、振り返ると充実した時間でした。昨日できなかったことが、今日はできるようになる。その変化をすぐそばで見て、夫婦で喜びを分かち合えました。

仕事から離れた1年で、家族のために時間を使える手応えを初めて知りました。この経験が、のちの決意を後押ししています。

復職後に生まれた「仕事はそんなに大切なのか」という問い

FIREを本気で決意したのは、復職した後です。

私が先に職場へ戻り、半年後に妻も復職しました。子どもは保育園に通い始めます。最初の頃は、毎週のように熱を出していた記憶があります。そのたびに、夫婦のどちらが休むかを調整しました。

つらかったのは、調整の手間よりも気持ちの面です。職場に迷惑をかけている。休んで看病しながらも、どこかで罪悪感を抱えている。熱を出して一番しんどいのは、子どものはずなのに。

育休中は、子どもの成長を夫婦で喜ぶことが毎日の中心でした。復職後は、子どもの体調が仕事の調整事項になっています。その落差の中で、同じ問いを繰り返すようになりました。

仕事は、そんなに大切なのか。今、子どもより優先して考えなければならないことなのか。

この時期の葛藤と、子育て世帯がFIREを考えるうえでの条件は「子育てFIREは可能か|教育費・生活費・タイミングを資産9200万の実例で解説」にまとめています。

「もっと資産を増やしてから」では遅いのかと迷った

FIREを具体的に考え始めても、迷いはすぐには消えませんでした。

働き続ければ給与が入り、資産を取り崩す必要もありません。教育費も住宅購入も、これから控えています。もう少し働いて資産を増やしてからでもいいのではないか。何度もそう考えました。

不安は大きく3つありました。

  • 教育費が想定以上にかかる可能性
  • 給与がなくなり、世帯の収入が減ること
  • 子どもがいるのに仕事を辞めることを、周りがどう見るか

妻も、将来の収入が減ることを気にしていました。

それでも「今」を意識したのは、子どもが未就学児でいる時間の短さです。小学校に上がれば、平日は学校が生活の中心になります。家族でいろいろな場所へ出かけ、一緒に新しい体験を重ねられる時間は、あと数年しかありません。

お金は、後からでも増やせます。子どもが未就学児だった時間は、後から買い戻せません。私の中で決め手になったのは、この差でした。

仕事への向き合い方も変わっていました。定年まで今の仕事を続けるには、モチベーションが持たなくなってきています。自分の好きなことで、どこまで稼げるか試してみたい気持ちもありました。ただし、家族の生活を犠牲にする挑戦はできません。生活の目処を立てることが先です。

子育て世帯でFIREが成り立つかは、近日公開予定の「子育て世帯でもFIREは可能か?」で詳しくまとめる予定です。

判断の材料にした「備え」の全体像

「1億円あれば大丈夫」のように、一つの数字で決めたわけではありません。これからの支出と将来の収入を並べて、長期のシミュレーションをしました。

項目想定
現在の資産約9000万円
FIRE後の生活費年約450万円(現在は年約550万円)
教育費年齢別に見積もり(大学は年約360万円)
住宅購入これから購入予定
年金(65歳以降)夫婦で年約390万円の見込み(額面)
退職金夫婦で約2000万円の見込み
サイドFIREの収入資産の取り崩しを抑える分として想定

FIRE後の生活費を今より約100万円少なく見込んでいるのには、2つ理由があります。仕事に関わる支出が減ること。住宅を購入して、住居費が固定されることです。

全体の流れとしては、65歳までは資産を取り崩しながら教育費にも対応します。65歳以降は年金が生活の柱です。

年金の見込みは額面で夫婦で年約390万円なので、税金や社会保険料を引いた手取りはこれより少なくなります。生活費との差額は、資産の取り崩しで埋める想定です。退職金は、資産形成に回すことも含めて、使い道をまだ決めていません。

生活費の見積もりは、年約550万円という今の支出の実績が土台です。わが家の支出管理の仕組みは「家計管理の方法|初心者でも挫折しない仕組みの作り方」で解説しています。

未来は、見通しどおりに進む保証はありません。教育費や住宅費が想定を上回ることも、運用次第で資産が想定より減ることもありえます。数字で備えたのは、不安をゼロにするためではありません。踏み出せるかどうかを判断するためです。

一度、退職を延期した

実は、退職を決めたのは昨年です。準備を進め、職場にも退職に向けた話を始めていました。

妻も最初は賛成してくれていました。ただ、それは「そこまで言うなら」という後押しに近いものでした。

昨年の11月ごろ、妻から「やっぱり不安」と打ち明けられます。私の説明が足りず、妻が納得できるところまで話せていなかったのです。不安が残ったまま進めても、家族の幸せにはつながりません。

私がFIREを目指すのは、家族で楽しく過ごす時間を増やし、人生の幸福度を上げるためです。家族の誰かが不安を抱えたままでは、その目的に反します。そこで、退職の話は一度取り下げました。職場からは慰留されていたので、取り下げても大きな問題は起きていません。

残念な気持ちはありました。ただ、焦りはほとんどありません。延期は、夫婦で同じ方向を向くための調整の時間だと考えたからです。

1年後には課題を全て整理して、FIRE生活に入れるようにする。そう決めて、妻との話し合いを続けました。その間の気持ちは、不安よりも「ここが整理できれば次に進める」という前向きなものでした。

条件を一つずつ整理し直し、最終的に2027年3月で退職する予定です。

子育て中のFIREで注意したいこと

延期を経験して、子育て中のFIREには、資産額とは別の落とし穴があると感じています。

自分だけで決めて進めてしまう

私がつまずいたのはここです。夫婦で話し合い、合意を取ったつもりでいました。それでも、妻の不安は払拭しきれていませんでした。話し合いが足りていなかったことが、後になってわかったのです。

合意を取ったつもりでも、話し合いが足りていなければ不安は残ります。賛成の言葉をもらった後も、不安が残っていないかを確かめる必要がありました。

不安がゼロになるまで待ってしまう

反対に、不安が全て消えるまで待つと、子どもの未就学期間は終わってしまいます。教育費も運用成績も、事前に確定できるものではありません。

私は「不安がなくなってから挑戦する」のをやめました。必要な備えをしたうえで、残る不安は受け入れる。そう考えて一歩踏み出すことにしています。

想定が外れたときの動き方を決めずに辞めてしまう

想定が外れたときにどう動くかを決めていないと、不安は家族全体に広がります。私は、資産の減り方が想定より大きければ、支出を見直す、副収入を増やす、必要なら仕事をする、と決めています。

子育て中にFIREを考え始めた人へ

ステップ1: FIREの目的を家族の言葉で書き出す

「仕事を辞めたい」ではなく、「何のために時間を使いたいか」を書き出してみましょう。私の場合は「子どもが未就学児のうちに、家族でいろいろな体験をしたい」でした。

目的が家族の言葉になっていれば、家族と話すときの出発点になります。

ステップ2: 家族に必要なお金を数字にする

教育費、生活費、住宅費、年金の見込みを並べます。上の表のように一覧にすると、「いくらあれば足りるか」より「どこまで備えれば踏み出せるか」が見えてきます。

わが家では、FIRE後の生活費を年約450万円と置き、教育費は子どもの年齢ごとに見積もりました。

ステップ3: 家族が納得するまで話す時間を取る

数字がそろったら、家族と話す時間を取りましょう。一度賛成をもらっても、それで終わりにせず、不安が残っていないかを確かめてください。私は合意を取ったつもりで準備を進め、後から妻の不安と向き合うことになりました。

一度の話し合いで決まらなくても、焦る必要はありません。家族で同じ方向を向くための時間だと考えれば、延期も前に進む手順の一つです。

家族との時間を優先して何が変わったのかは、10/13公開予定の「家族との時間を優先して気づいたこと」で書く予定です。

まとめ

  • 子どもが生まれて、FIREの目的は「早く辞める」から「未就学児の今しかない家族の時間を確保する」に変わった
  • 「もっと貯めてから」と迷ったときは、教育費・生活費・年金・退職金を並べ、どこまで備えれば踏み出せるかで判断した
  • 家族が同じ方向を向けないFIREは、目的に反する。私は一度延期し、条件を整理して2027年3月の退職を決めた

次のアクション: FIREで手に入れたい時間を、一文で書き出してみてください。それを家族に見せるところから、話し合いは始められます。

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