子育て世帯でもFIREは可能か?自分で判定できる3つの基準

FIRE戦略

子どもがいると、教育費がいくらかかるか読めません。私も最初は、そこで計算が止まりました。

子育て世帯のFIREが可能かどうかは、「必要資産」「タイミング」「家族の合意」の3つを、自分の家庭の数字で確かめることで判断できます。

私は40代公務員で、資産は約9000万円です。未就学児を育てながら、2027年3月にサイドFIREする予定です。この記事では、私が実際にFIRE計画の可否を判定した手順と数字をもとに、3つの基準を順に紹介します。

この記事でわかること
  • 子育て世帯がFIREの可否を判定する3つの基準
  • 教育費を資産計画に組み込む考え方
  • 自作のシミュレーションで判定するまでの手順

子育て世帯のFIRE判定が難しくなる理由

一番の理由は、教育費という大きな支出が、何年も先にまとまってやってくることです。

子どもが生まれる前、お金の計算は夫婦2人の生活費が中心でした。老後まで資産が持つかどうか。考えていたのはそれだけです。

子どもが生まれ、FIREを考えるようになってから、計算の前提が変わりました。自分たちが暮らせればいい、では済みません。教育費を払いながら、子どもの選択肢を狭めずにいられるか。家族との時間も確保できるか。この視点で計画を立てています。

FIREの一般的な計算は「年間支出の25倍」のように、毎年同じ支出が続く前提で考えます。ところが子育て世帯の支出は、子どもの年齢によって大きく波打ちます。この波を計画に入れないまま「可能か」を考えても、答えは出ません。

波を読む土台になるのは、日々の家計の記録です。私はマネーフォワードで支出を記録し、年単位の推移を確認しています。記録を続ける仕組みは「家計管理の方法|初心者でも挫折しない仕組みの作り方」で解説しています。

基準1:必要資産|教育費を含めて資産と収入でまかなえるか

1つ目の基準は、教育費を含めた支出を、資産と収入でまかなえるかどうかです。

教育費は年齢によって大きく変わる

教育費は、毎年同じ額がかかるわけではありません。我が家の見積もりでは、小学生の頃は年約40万円ですが、大学期には年約360万円まで膨らみます。1歳から大学を卒業するまでの合計は約2500万円。資産約9000万円の3割近くにあたります。

金額は、一般的な教育費の水準をもとに、夫婦それぞれが歩んできた進学の経験を踏まえて調整しました。自分と同じような進学の道を子どもが選んだら、これくらいは必要になる。その感覚を一つの基準にしています。金額が膨らむ大学期には、少し余裕を持たせて多めに見積もっています。

ただ、進路を決めるのは子ども本人です。想定していなかった道を選ぶかもしれません。だから金額は「最低ライン」として持ち、余裕を持たせて準備しています。どんな選択でも、できるだけ応援できるようにするためです。

年齢別の内訳と目安の決め方は、近日公開予定の「教育費はいくら必要?リアルな目安を公開」で詳しく解説します。

教育費は別枠にせず、資産の中から取り崩す

教育費を1000万円など別枠の現金で確保しているわけではありません。約9000万円の資産の中に教育費も含め、必要な時期に必要な分を取り崩す設計です。

別枠にしない分、教育費も使う時期まで運用を続けられます。一方で、大学期に暴落が重なれば、下がった資産から取り崩すことになります。この弱点は、基準2のタイミングとあわせて考えています。

生活費は実績の推移から置く

生活費は、実際の支出の推移をもとに想定しています。

2024年は約580万円、2025年は約510万円でした。直近2年の平均は約550万円です。1年で約70万円減ったのは、保育園が無償化の対象年齢に入ったことなどが理由です。今後は年500万円以内に収まると見込んでいます。

FIRE後は賃貸から持ち家に移り、住居費が安定する予定です。そのため、FIRE後の生活費は年約450万円で想定しています。

必要資産の考え方そのものは「FIREに必要な資産はいくら?4%ルールは古い|年金込みで再計算」で解説しています。

基準2:タイミング|大学期までの残り年数を準備に使えるか

2つ目の基準は、教育費が本格化するまでに、準備の時間がどれだけ残っているかです。

子どもの年齢そのものでFIREの難しさが決まるとは考えていません。見るべきは、一番大きな支出の山までの距離です。

我が家の山は大学期です。年約360万円が4年続き、ここだけで約1440万円。家計への負担は最も大きくなります。

ただ、子どもはまだ未就学児で、大学進学まで10年以上あります。その間に、運用益がさらに運用益を生む「複利」の効果が期待できます。資産や収入、支出の変化を見ながら、作戦を立て直す余地もあります。

山までの時間が残っていれば、問いの立て方を変えられます。「大学費用がこれだけかかるからFIREは無理」という二択ではなく、「いつ、どの程度の収入を残せば成り立つか」という問いです。

反対に、山までの時間が短いほど、運用で埋められる部分は小さくなります。大学進学が数年後に迫っている家庭では、同じ資産額でも判定は厳しくなります。

基準3:家族の合意|前提を共有し、修正できる余地を残す

3つ目の基準は、FIRE後の生活の前提を夫婦で共有できているかどうかです。賛成か反対かを確認するだけでは足りません。

我が家で擦り合わせた項目は5つあります。

  • 住居:どこに、どんな形で住むか
  • 仕事:収入を完全にゼロにするのか
  • 教育:どの程度の教育費を想定するか
  • 生活費:FIRE後の年間支出の目安
  • 想定外の事態:資産が想定より減ったらどうするか

住居は、子どもの義務教育期間中は生活圏を変えないことを基本にしました。学校や友達との関係は、親のFIREの都合で動かすものではないと考えたからです。我が家は同じ学区の中で、賃貸から持ち家に住み替える予定です。

仕事は、収入をゼロにしないサイドFIREを前提にしています。配当金と資産の取り崩しに加え、働いて得る収入も持つ計画です。資産が想定以上に減った場合は、支出の見直しや収入を増やすこと、必要なら再び働くことも選択肢に残しています。

合意で大切なのは、将来を細かく決め切ることではありません。前提を共有し、予想外のことが起きても一緒に修正できる状態を作っておくことです。

子育てとFIREを両立させたいと考えた理由は「子育てしながらFIREを目指す理由|退職を一度延期して気づいたこと」にまとめています。

私が実際にFIRE計画の可否を判定した手順

やったことは、家計の実績から出発して、ライフプランに当てはめるという流れです。

出産前後の家計収支を並べた

最初に、子どもが生まれる前と後の家計収支の推移を並べました。知りたかったのは、満足度を保ったまま暮らすのに、どれくらいの支出が必要だったか。そして、これから必要になるかです。

記録にはマネーフォワードを使っています。過去の支出を年単位で振り返れることが、判定の出発点になりました。

ライフプランに支出を当てはめた

次に、今後のライフイベントを書き出しました。教育費、住宅の購入や修繕、車の買い替え、介護費用などです。それぞれの支出を自作のスプレッドシートに当てはめ、生涯にわたって生活が破綻しないかを確認しています。

シミュレーションの前提は次のとおりです。

  • 株式の成長率:年3%
  • 投資信託の成長率:年6%
  • 配当金の成長率:年3%
  • インフレ率:年2%

これを通常のケースとし、楽観・悲観のパターンも作って3通りで結果を見ています。楽観的な数字だけで計算すると、判定が甘くなるためです。

そのうえで、20%程度の暴落が起きるケースも加えています。暴落の時期は何通りも変えて試しました。どの時期でも大丈夫だと確かめるためではありません。この時期に暴落が来たら、将来にどんな影響が出るのか。それを具体的にイメージしておくための検証です。

教育費の約2500万円と住宅予算の3500万円を足すと、資産の6割を超えます。それでも計画が成り立つと判断したのは、退職時に受け取る退職金(見込み)を加えたうえで、配当金や運用益、働いて得る収入も含め、生涯の収支を年ごとに計算しているからです。資産からまとめて引き算して判断しているわけではありません。

我が家の教育費と生活費を使った試算は「子育てFIREは可能か|教育費・生活費・タイミングを資産9200万の実例で解説」で解説しています。

子育て世帯のFIRE判定で注意したいこと

失敗:住宅予算が青天井になりかけた

一番の失敗は、住宅の予算を理想から考えたことです。

新築の注文住宅、建売住宅、分譲マンション、中古住宅、賃貸のまま暮らす。選択肢を並べ、家族の価値観を擦り合わせて戸建てに絞りました。ところが、理想を思い描くほど、予算に上限がなくなっていきました。

予算を青天井にすると、住宅の取得はローンが前提になります。ローンを組めば、毎月の返済に合わせて働き続ける必要が出てきます。生活の主導権を自分で握れなくなる可能性が高まり、経済的自由からは遠ざかります。

そこで、順番を逆にしました。今の資産額と今後の運用のシミュレーションから、住み替えの予算は3500万円以内なら計画が成り立つと判断しました。この金額には、不動産の購入、リフォーム、引っ越し、家具の購入まで含めています。

身の丈に合い、これからの未来を犠牲にしない支出の範囲を先に決める。そのうえで、予算の中で実現できる理想を整理する方式に変えました。

注意点:予測できないものは、修正を前提にする

子どもの進路、想定外のインフレ、株価の暴落、不動産市況。どれも自分ではコントロールできません。

私が決めているのは、想定の範囲でシミュレーションしておき、範囲を超える現実が来たら、その時点でよりよい計画に修正することです。FIRE後も毎年収支を見直し、計画と実績の差を確認する予定です。

資産がいくらを下回ったら働き方を変える、という数値基準はまだ決めていません。生活が破綻する未来が見えた時が、お金のために働き方を変える時だと考えています。将来も同じ利回りが続く保証はなく、この計画も見直しを重ねていく途中です。

子育て世帯がFIREの可否を判定する4つのステップ

ステップ1:家計収支の推移を並べる

まずは、直近数年の支出を年ごとに並べましょう。子どもが生まれる前の記録が残っていれば、その前後を比べると、子育てで増えた支出が見えてきます。満足度を保てていた支出額が、判定の土台になります。

ステップ2:教育費を年齢別に置く

基準1で紹介したように、子どもの年齢ごとに年額を置きましょう。一般的な水準をもとに、自分たちの経験を踏まえてアレンジすると、家庭ごとの数字になります。

ステップ3:ライフイベントを入れてシミュレーションする

教育費、住宅の購入や修繕、車の買い替え、介護費用などを年表に入れ、通常・楽観・悲観の3パターンで生涯の収支を確認しましょう。暴落の時期を変えて試すと、どの時期の暴落がどれだけ響くかも見えてきます。

ステップ4:夫婦で前提を共有する

住居、仕事、教育、生活費、想定外の事態への対応。この5項目を、夫婦で言葉にしておきましょう。決め切る必要はありません。修正するときの方向を、2人で同じにしておくことが目的です。

子育て世帯がFIREまでたどる道筋は「子育て世帯のFIRE戦略|資産9000万円のリアルと達成ロードマップ」でまとめています。

まとめ

  • 子育て世帯のFIREの可否は、必要資産・タイミング・家族の合意の3つを、自分の家庭の数字で確かめて判断する
  • 教育費は年齢によって大きく変わる。資産と収入の中から取り崩す前提で計算する(我が家は合計約2500万円)
  • 予測できない部分は、毎年の見直しで修正する前提を夫婦で共有しておく

次のアクション: 結婚、出産、就職や転職。お金が大きく動くライフイベントがあったら、そのたびにライフプランを組み直しましょう。まずは、直近数年の家計収支を1枚の表に並べるところから始めてください。

タイトルとURLをコピーしました