- 13年間の投資で実感した高配当株の3つのメリット
- 始める前に知っておきたい4つのデメリット
- 10銘柄で減配を経験した私のリスクとの向き合い方
高配当株は資産を最速で増やす手段ではなく、配当という現金収入で投資を続けやすくする手段です。向いているのは、資産の最大化より「今から使えるお金を作ること」を優先したい人。ただし減配は避けられないため、集中投資を避け、分散を前提に始める必要があります。
「配当金で生活費をまかなえたら」と考える一方で、「高配当株はやめとけ」という声も目に入ります。どちらが本当なのか判断できないまま、手が止まっている人は少なくないはずです。
私は40代の公務員で、13年前に株主優待をきっかけに投資を始めました。現在は日本の個別株を約170銘柄保有し、2026年の配当収入は税引後で約120万円を超える見込みです。また、高配当株投資として購入した銘柄で減配を経験した銘柄も10社あります。
良い面も悪い面も、実際に持ってみて分かったことを解説します。
高配当株そのものの仕組みや配当利回りの計算方法は、「高配当株とは?配当利回りの仕組みをわかりやすく解説」で整理しています。
高配当株投資の3つのメリット
メリット1: 成果が現金で見えるから続けられる
配当は、口座に振り込まれます。
我が家の2026年の配当収入は、税引後で約120万円を超える見込みです。月あたり10万円以上。我が家の食費と水道光熱費を合わせた金額とほぼ同じです。生活費の一部を、労働ではなく保有株が生み出している状態になります。
この「見える成果」が、13年続けられた理由のひとつです。
インデックスファンドの評価額も増えてはいます。ただ、売らない限り現金にはなりません。画面上の数字が増えるだけの期間は、正直なところ実感が薄いです。
年に2回、企業から配当金計算書が届きます。その積み重ねが、次の1銘柄を買う動機になりました。
メリット2: 株価が下がっている間も現金が入る
暴落時に平常心でいられたのは、配当が得られていたからです。
2020年のコロナショックでは、我が家の資産が約3510万円から約3110万円まで減りました。1年で約400万円のマイナスです。ニュースを見るたびに気持ちが揺れました。
それでも売らずに済んだのは、保有株の多くが配当を出し続けたからです。株価は毎日変わりますが、配当は年に2回、業績に応じて支払われる。この時間軸の違いが、短期の値動きから距離を取らせてくれました。
保有銘柄の中には減配になった銘柄もあります。その内訳は後ほど挙げます。
配当収入だけで生活が成立するかどうかについては、別の記事で私の数字をもとに検証する予定です。
メリット3: 投資が生活に還元される感覚を持てる
そもそも私が投資を始めたきっかけは、株主優待でした。
高配当株を買い進めるうちに、優待を出している企業も保有銘柄に混ざっていきます。内容は日用品、金券、サービスの割引と企業によってさまざまで、使えばその分だけ家計の支出が減る。生活費を下げる手段としても働いてくれます。
配当のほうは、家族3人での外出や、ちょっとした楽しみに充てることがあります。投資の成果が、口座の数字ではなく生活の場面に出てくる。
資産形成の効率だけで言えば、すべて再投資したほうが有利です。それでも、投資が暮らしにつながる実感は、続けるうえで無視できない効果がありました。
「働いて得る収入だけに頼らなくても、少しずつ自分で収入源を作れる」
この感覚を持てたことが、2027年3月のサイドFIREを具体的に考え始めたきっかけになっています。
高配当株投資の4つのデメリット
ここからは、始める前に知っておいたほうがいい部分です。私自身、投資を始めた当初は軽く考えていました。
デメリット1: 銘柄選びと管理に手間がかかる
高配当株は、買った後にやることがあります。
確認するのは主に3つです。
- 業績は安定しているか(売上・利益の推移)
- 財務状況に問題はないか(自己資本比率、有利子負債)
- 配当を維持できる水準か(配当性向、過去の配当推移)
決算が出るたびに、この確認が発生します。保有銘柄が増えるほど作業量も増える。私は個別株を約170銘柄を持っているので、決算シーズンはそれなりの時間を使います。
インデックスファンドなら、積立設定をしたあとにやることはありません。この差は、思っている以上に大きい。
平日に働きながら投資をする人にとって、この手間が続けられるかどうかは重要な判断材料になります。
私は決算発表が集中する5月と11月に、保有銘柄の配当方針を一通り見直しています。全部を精読するわけではなく、減配・据え置き・増配の区分だけを先に振り分ける。気になった企業だけ決算資料まで読み込む形です。
この作業を面倒だと感じるなら、高配当株より投資信託のほうが向いています。逆に、企業の数字を追うこと自体が苦にならない人には、続けやすい投資だと感じます。
デメリット2: 配当を受け取るたびに約20%が税金で引かれる
配当金にはNISA口座で購入していなければ、20.315%の税金がかかります。
内訳は所得税・復興特別所得税が15.315%、住民税が5%です。10万円の配当なら、手元に残るのは約8万円。
インデックスファンドの場合、ファンド内部で配当が再投資され、売却するまで課税されません。課税を先送りできる分、複利が効きやすい構造になっています。
私の場合、税引前の配当は年間で約150万円あります。そこから約30万円が引かれて、手元に残るのが約120万円。この30万円を毎年再投資に回せていたら、13年でそれなりの差になっていたはずです。
資産を増やす速度だけを比べれば、この差は年々広がります。
新NISAを使えば配当は非課税になりますが、枠には限りがあります。我が家はつみたて投資枠を毎月10万円ずつ夫婦でインデックスに使っているため、高配当株は成長投資枠に移せた分だけが非課税です。
税金の扱いは、高配当株の構造的な弱点だと考えています。
デメリット3: 大きな値上がり益は狙いにくい
高配当株は、成熟した企業が中心です。
利益を配当として株主に還元する企業は、裏を返せば、事業拡大に大量の資金を投じる段階を過ぎているとも言えます。成長企業のように株価が数倍になる展開は、期待しにくい。
私の保有銘柄も、金融・商社・素材・通信といった業種が多くなっていきます。安定はしていますが、爆発力はありません。
資産を最大化したいなら、オルカンやS&P500などのインデックスファンドのほうが合理的です。私自身、2024年の新NISA開始からインデックス投資を本格化させたのは、この点を補うためでもあります。
高配当株とインデックス、どちらか一方を選ぶ必要はありません。私は配当によるキャッシュフローと資産成長の両方を狙う形にしています。
デメリット4: 買う価格によって結果が変わる
同じ企業でも、いつ買ったかで配当利回りは変わります。
株価2000円・年間配当80円の銘柄なら、取得時の利回りは4%です。同じ銘柄を株価2600円で買えば、利回りは約3.1%まで下がる。企業も配当も同じなのに、買値だけで差がつきます。
だから割安なタイミングを待つことになります。ただし、株価が下がっている理由の見極めが必要です。
- 市場全体の調整や業界の一時的な低迷 → 優良企業を割安に買える可能性がある
- その企業自身の業績悪化や将来性の低下 → 減配や株価低迷につながる
前者と後者を見分けるのは簡単ではありません。
だからこそ、業績と財務を確認したうえで、魅力的な価格になった銘柄を買うようにしています。
インデックス投資のような機械的な定額積立とは、この点が根本的に違います。
私が経験した減配のリアル
10銘柄で減配を経験しました
減配は、できる限り避けたいですが、避け続けられるものではありません。実際に減配を経験した保有銘柄を挙げます。
- SBIホールディングス
- 三井住友フィナンシャルグループ
- 三菱UFJフィナンシャルグループ
- セブン銀行
- 東ソー
- DIC
- 王子ホールディングス
- ENEOSホールディングス
- 住友商事
- 日本たばこ産業
特にコロナショックのときは、減配や無配転落の銘柄がいくつも出ました。当時は「配当が入るから安心」と思っていた前提が崩れる感覚がありました。
減配の発表は、決算と同時に出ることが多いです。朝に適時開示を見て、その日の株価が大きく下げるという流れを何度か経験しました。株価の下落と配当の減少が同時に来るので、精神的なダメージは値下がりだけのときより大きいこともあります。
このとき理解したのは、配当は約束されたものではないということです。企業が利益から支払う以上、業績が落ちれば減る。当たり前のことですが、順調に配当が増えていた時期には意識できていませんでした。
高配当株の目的は、配当を貰い続けること。欲を言えば、増えていく配当を貰い続けることです。減配はその前提を崩す出来事なので、売却を検討する材料になります。
減配が起きたときに確認していること
減配の連絡を受けても、すぐには売りません。原因を分析します。
見るのは次の点です。
- 一時的な要因か、構造的な業績悪化か
- 配当性向は無理のない水準に戻ったのか
- 過去の配当推移から見て例外的な動きか
- 本業の利益は維持できているか
一時的な減配であれば保有を続けます。企業として下落傾向にあると判断すれば売却します。この判断を、決算資料を読みながら1社ずつ行います。
今後も減配が起こらない保証はありません。減配リスクは常にあるものだと考えています。
170銘柄に分散している理由
1銘柄への集中投資を避けているのは、この減配リスクがあるからです。
約170銘柄に分散していれば、1社が減配しても配当収入全体に与える影響は限定的です。年間配当120万円に対して、1銘柄の配当が数千円から数万円という構成なので、1社の減配で家計が揺らぐことはありません。
個別企業のリスク管理と、ポートフォリオ全体のリスク管理は別のものです。銘柄を選ぶ目を磨いても、外れるときは外れる。分散はその前提に立った備えです。
日本の高配当株をどう組み合わせるかという具体的な考え方は、別の記事で改めて整理する予定です。
反省点: 利回りの数字だけで選んでいた時期がありました
大きな損失を出した失敗はありません。ただ、投資を始めた当初のやり方には反省があります。
配当利回りの高さを重視しすぎて、企業の業績や財務、配当の継続性を深く確認できていませんでした。「利回りが高い=お得」という考えで、ランキング上位の銘柄を買っていた時期があります。
続けるうちに分かったのは、見るべきは今の利回りではないということでした。今後も利益を出し続け、配当を維持・成長させられる企業かどうか。ここを外すと、高い利回りは減配で消えます。
利回り5%の銘柄が減配して利回り2%になれば、割高な株を掴んだだけで終わります。
高配当株を始めるときの実践ステップ
日本株は自分で選ぶ、米国株はETFを使う
日本株と米国株では、取るべき方法が違います。
日本株
信頼できる高配当ファンドの選択肢が限られるため、個別銘柄を自分で組み合わせる方法を取っています。選ぶ基準は次のとおりです。
- 10年以上、配当を継続して支払っているか
- 利益率や配当成長率などの数字に不自然さがないか
- 特定の業種が全体の20%を超えていないか
- 食料品・医薬品・通信といったディフェンシブ銘柄を50%以上組み込めているか
セクター比率のルールを決めておくと、減配が特定業種に集中したときのダメージを抑えられます。
私が減配を経験した10社を並べると、金融が4社、素材が2社と偏りが見えます。コロナショックのように業種単位で業績が落ち込む局面では、同じ業種の銘柄が揃って減配します。銘柄数を増やしても、業種が固まっていれば分散にならない。
この失敗があったので、今は業種ごとの比率を定期的に確認しています。
米国株
個別銘柄の管理が重くなるため、VYMやHDVといった低コストの高配当ETFから始めるのが現実的です。楽天SCHDやSBI SCHDのように、投資信託の形で買える商品も増えました。
ただし、私自身は米国高配当株をまだ少額しか買っていません。利回りの水準が自分の基準に届いていないからです。買うタイミングが来れば追加する予定にしています。
証券口座と最初の投資額
私はSBI証券と楽天証券を併用しています。どちらも日本株を1株単位で買えて、米国の高配当ファンドも扱っている。使い分けの理由や実際の使い勝手は、別の記事で詳しく書く予定です。
最初の投資額は1万円単位からで十分です。少額で経験を積みながら、決算資料を読む習慣を作るほうが先になります。
ただし、数千円単位の極小ポジションを増やしすぎると管理が追いつきません。銘柄数だけが増えて、1社あたりの配当が数百円という状態は、手間に対して得るものが少なくなります。
私は気になった企業を単元未満株で少しだけ買い、その後の決算を追うという使い方をしています。実際に保有すると、その企業のニュースが目に入るようになる。買ってから調べるほうが、調べてから買うより頭に残りました。
そこで納得できたら買い増す。合わないと判断したら、それ以上増やさない。170銘柄という数字には、この様子見のポジションも含まれています。
銘柄を決めるまでの4ステップ
- 候補を探す — 利回りランキングや投資ブログ、SNSで気になる銘柄をリストアップする
- 過去を確認する — IR BANKなどで売上・利益・配当の実績を10年分さかのぼり、減配や無配転落がないか見る
- 最新の状況を見る — 企業サイトで直近の決算資料と配当方針を読む
- 分散ルールと照らす — 自分のポートフォリオでセクターが偏らないか確認して購入を決める
この4ステップを踏むと、1銘柄あたり30分ほどかかります。それでも、利回りランキングだけを見て買っていた頃より、減配に遭う頻度は減りました。
受け取った配当をどう使うかで結果は変わります。再投資に回す戦略については、改めて記事にする予定です。
まとめ
- メリット: 現金収入が見えるから続けられる。暴落時も配当が入る。生活に還元される実感がある。
- デメリット: 管理の手間、約20%の課税、値上がり益の小ささ、買う価格で結果が変わる。
- リスク管理: 減配は避けられない前提で、分散とセクタールールで備える。
資産を最大化したいなら、インデックス投資のほうが向いています。手間も税金も少なく、複利が効きやすい。
それでも私が高配当株を続けているのは、配当という現金収入があることで、暴落時に投資をやめずに済んだからです。2027年3月に予定しているサイドFIRE後も、この収入があることで生活設計を組み立てやすくなります。
どちらが優れているかではなく、自分の目的とライフステージに合うかどうか。そこが判断の分かれ目になります。
まずは気になる銘柄を3社選び、IR BANKで過去10年の配当推移を見てみる。買うのはその後で構いません。
