優待目当てで買った株が、ある日突然「優待廃止」と発表される。株式投資を始めて13年、これを何度も経験してきました。
2025年に我が家が受け取った株主優待は、金額に換算して約24万円分。タイヤ、家電、洗剤、家族での外食と、生活のさまざまな場面で使っています。生活費を確実に下げてくれる制度であることは間違いありません。
その一方で、優待の休止や廃止をきっかけに売却した銘柄もあります。両方を経験した立場から、メリットとデメリットを整理します。
- 株主優待のメリットと、見落とされがちなデメリットの実態
- 優待の廃止・改悪が起きたときに、私がどう判断したか
- 失敗しない銘柄選びの7ステップと、最初の1銘柄の選び方
株主優待は生活コストを下げる実用的な制度です。ただし優待利回りの高さだけで銘柄を選ぶと、廃止や改悪で判断が崩れます。業績・財務・配当まで確認したうえで、優待は加点要素として考える。これが失敗を減らす方法だと考えています。
株主優待に魅力を感じる3つの理由
生活費が目に見えて下がる
優待の魅力は、受け取ったものがそのまま家計の支出を減らすことです。
我が家が保有しているのは、イオン、オートバックス、エディオン、DCM、キリン、ライオン、マクドナルド、ヤマダ電機、コメダ、TOKAIホールディングス、KDDI、ハニーズ、ヒロセ通商、はるやま、トリドールホールディングス、シード、イエローハットなど。外食に使えるもの、日用品や家電が買えるもの、衣料品に使えるものと内容はさまざまです。
2025年に受け取った優待の換算額は約24万円分。月に直せば約2万円で、日用品や外食に活用できる金額です。優待そのものが何かを解説した内容は「株主優待とは?生活費を下げる制度の仕組みと本当の効果」にまとめています。
配当とは違う「使う楽しみ」がある
配当金は口座に入金される数字です。優待は商品やサービスとして手元に届きます。
タイヤはオートバックスの優待で買い、カー用品はイエローハットで。外食はマクドナルドやトリドールを使い、衣料品ははるやまやハニーズで購入しています。投資の成果が生活の場面に直接あらわれるので、家族にも投資の効果が伝わりやすいという実感があります。
何より、ものが届くこと自体が単純に嬉しい。優待品が郵便で届く日は、家族で何を買おうかと話す時間になります。配当金のように何にでも使えるわけではありませんが、その分だけ「これを買うために持っている株」という感覚が生まれます。
下落局面でやや粘ることがある
これは私自身の経験からの感覚ですが、相場全体が下がる場面で、優待銘柄は他の銘柄より下落が緩やかになることがあります。優待を目的に長期保有している個人投資家が一定数いるためだと考えています。
優待がクッションの役割を果たしていると感じる場面はありました。ただし、これは次に書くデメリットと表裏の関係にあります。
デメリット①:優待は突然なくなる
優待の休止・廃止は、私自身が何度も経験しています。
アドバンスクリエイトは、100株以上の保有で大丸・松坂屋のフリーチョイスギフト「ロビン」約4千円相当と、優待クラブの利用権がもらえる銘柄でした。2025年7月、業績低迷と債務超過を背景に、財務改善を優先するとして優待休止を発表。発表後、株価は夜間取引で一時20%超下落しました。
さらに2025年9月期は無配となり、2026年9月期も優待休止が続くことが発表されています。優待も配当もなくなり、業績と財務にも不安がある。保有理由が残らなかったため、売却しました。
千趣会は「ベルメゾン」の買い物に使える優待でした。100株で1千円分、300株で2千円分、500株で4千円分と保有株数に応じて増え、1年以上・2年以上・3年以上の長期保有で追加優待もある仕組み。長く持つメリットを感じやすい銘柄でした。
2026年2月、株主還元を配当に集約する方針として優待廃止を発表。実際にベルメゾンで使えていただけに残念でしたが、業績も厳しい状況が続いていたため、これを機に売却しています。
ココスは2019年の経験です。100株以上で年2回、1回1千円分の食事券と5%割引カードがもらえる優待でした。2019年4月、優待休止と業績予想の大幅な下方修正が同時に発表され、株価は大きく下落。その後ゼンショーグループの完全子会社となり、2020年2月に上場廃止となりました。
廃止されても売らない銘柄もある
優待が廃止されたら必ず売る、というわけではありません。
JTとオリックスも優待が廃止された銘柄ですが、どちらも保有を続けています。配当と企業そのものを評価して買った銘柄だからです。
判断を分けているのは「優待がなくなった後に何が残るか」です。優待だけが保有理由だった銘柄は、優待の消滅がそのまま売却理由になります。
デメリット②:権利落ち後に株価が下がる
優待価値が高い銘柄ほど、権利付き最終日に向けて買われ、権利落ち日に売られやすい傾向があります。
現在も保有しているイオンで、これを実感しました。2026年2月の権利確定では、権利付き最終日の終値から翌日の権利落ち日に約3.5%下落。その後も下げが続き、権利付き最終日の終値から見ると一時10%程度下がっています。
すべてが権利落ちによるものとは考えていません。相場全体の動きも個別の材料もあります。ただ、優待の権利を取った直後に株価がこれだけ下がると、優待をもらえたことだけで得をしたと考えるのは違うと実感しました。
この経験もあり、権利取りだけを目的とした短期売買はしていません。優待を実際に使うことを前提に、長期で持てる銘柄を選んでいます。
デメリット③:金額換算どおりの価値があるとは限らない
廃止されなくても、優待の使い勝手が変わることがあります。
ヴィレッジヴァンガードは、以前は1千円分の優待券を使う際に特に条件がありませんでした。現在は2千円(税込)以上の購入につき1枚という条件付きです。額面は同じでも、実質的な使い勝手は変わりました。
オートバックスは2024年11月発送分から、ギフトカードが限定Vポイントに変更されています。金額は変わりませんが、ポイントには有効期限があるため、私にとっては以前より使いにくくなりました。
一方で改善するケースもあります。ヴィア・ホールディングスは一時期の変更で使い勝手が悪くなったと感じましたが、その後拡充され、現在は100株保有で年間8千円相当まで戻っています。
こうした経験から、「優待5千円相当」という数字だけでは評価しないようになりました。利用条件が厳しくなれば同じ5千円の価値はありません。逆に金額が小さくても、普段使う店舗なら自分にとっての価値は高い。
金券系の優待にも注意しています。QUOカードのような優待は、企業側が続けるメリットが自社商品の優待より小さいぶん、見直しの対象になりやすいと感じています。すべてが廃止されるわけではありませんが、同じ利回りなら自社商品・自社サービスの優待を選びます。
失敗しない銘柄選びの7ステップ
現在は次の順番で確認しています。配当利回りの考え方そのものは「高配当株とは?配当利回りの仕組みをわかりやすく解説」で整理しています。
- 普段使いできる優待か — 自分や家族が実際に使うか。使わない優待は金額換算しない
- 総合利回りは5%以上か — 配当利回りと優待利回りの合計。ただしこれだけで買わない
- 自社商品・自社サービスの優待か — 企業側にPRのメリットがあり、廃止リスクが低いと考えている
- 業績に問題はないか — 売上高・営業利益の長期推移。一時的な減益か構造的な悪化かを見る
- 財務は健全か — 自己資本比率や有利子負債。業績も財務も厳しければ優待は維持できない
- 優待は継続されそうか — 内容変更の頻度、長期保有優遇の有無、株主還元方針
- 配当は維持できそうか — 配当実績と配当性向。優待がなくなっても持ちたいと思えるか
以前は総合利回りをもっとも重視していました。休止と廃止を経験したことで、最後の7番目が判断の軸になっています。
長期保有を優遇する制度に変えた企業には注目しています。ライオンは1年以上継続保有した株主に自社商品を提供する制度に変更しており、中長期保有を促す意図が明確です。
これから始める人への実践ステップ
最初から大きな金額を投じる必要はありません。まず1銘柄を買える資金から始めて、実際に優待を受け取って使ってみる。これが一番だと思います。
選ぶなら、自分や家族が普段利用している店舗やサービスから。外食が多いならマクドナルドやトリドール、車をよく使うならイエローハットやオートバックスというように、生活に合わせると優待の効果を実感しやすくなります。優待で下がるのは生活費なので、家計全体の見直しとあわせて考えると効果が大きくなります。固定費の削り方は「固定費削減で人生が変わる理由|我慢ゼロで年間48万円浮かせた方法」で解説しています。
証券口座は大手ネット証券であれば十分です。私はSBI証券と楽天証券を使っています。どちらがどう違うかは、近日公開予定の記事で、13年両方使った比較をまとめる予定です。
管理面で気をつけたいのは権利確定日です。優待を受け取るには権利確定日に持っているだけでは足りず、権利付き最終日までに買う必要があります。銘柄ごとに権利確定月も違うので、証券会社の画面で確認しています。
権利確定月を分散させるために銘柄を選ぶことはしていません。月をそろえるために、投資したいと思わない銘柄を買うのは本末転倒だからです。
まとめ
- 株主優待は生活コストを実際に下げる制度で、2025年の我が家では約24万円分になった
- 廃止・休止・改悪は珍しくない。権利落ち後の下落も含め、金額換算どおりの価値があるとは限らない
- 優待がなくなっても持ちたいと思える企業かどうか。業績・財務・配当まで見たうえで、優待は加点要素として考える
まずは1銘柄。普段使っている店の優待から始めて、実際に受け取って使ってみてください。そこから増やすかどうかを決めても遅くありません。
