2025年に我が家が受け取った株主優待は、金額に換算して約24万円分でした。
車のタイヤ、家電、洗剤やティッシュ、家族での外食。どれも優待がなくても買っていたものです。その支払いを優待で置き換えた分だけ、現金が家計に残りました。
40代の公務員として働きながら投資を続けて13年。入口は高配当株ではなく、優待株でした。
株を持っているともらえるおまけ。株主優待はそう説明されることが多いのですが、我が家での実感は少し違います。買う予定だった支出を先に消しておく制度、という感覚に近い。
- 株主優待の仕組みと、配当金との違い
- 2025年に受け取った約24万円分の主な内訳と、実際の使い道
- 銘柄選びに使っている総合利回り5%以上という基準
- 優待廃止で損失を出した3銘柄の話
- これから始める人が最初にやること
株主優待は、企業が株主に贈る商品やサービス
一定数以上の株を持つ株主に対して、企業が自社製品やサービス、割引券などを贈る。これが株主優待です。
配当金との違いは、受け取る形にあります。配当は現金、優待は商品やサービス。どちらも企業から株主への還元という点では同じです。
優待を受け取るには、企業が定めた権利確定日の時点で株主になっている必要があります。多くの銘柄は100株以上の保有が優待をもらえる条件となっており、権利確定月は企業ごとに違う。3月と9月に集中する傾向はありますが、毎月どこかの企業が権利確定日を迎えています。
保有株数によって内容が変わる銘柄も多くあります。100株で1000円分、300株で3000円分といった具合です。
注意したいのは、権利確定日の当日に買っても間に合わないことです。株を買ってから株主として記録されるまでには時間がかかるため、権利付最終日(原則2営業日前)と呼ばれる日までに買っておく必要があります。権利確定月の月末に思い出しても遅い、というケースが起こります。
もうひとつ、長期保有を条件にする銘柄が増えてきました。1年以上継続して保有している株主だけが対象、あるいは長期保有で優待が増額される。買ってすぐ売る投資家を避ける狙いです。買う前に条件を確認しておかないと、届くはずの優待が届きません。
株式投資そのものが初めてであれば、「投資初心者は何から始めるべきか?最短ルートを解説」に全体の流れをまとめています。
優待株から投資を始めた理由
私が投資を始めたのは2014年、旧NISAが始まったタイミングでした。最初に買ったのは優待株です。
当時は投資経験がほとんどありませんでした。株価の値上がりを狙うという発想より、株を持っているだけで商品やサービスが届くという仕組みのほうが、はるかに具体的に想像できた。それが優待株から入った理由です。
ただ、優待の内容だけで選んでいたわけではありません。始めた時点から、配当利回りと優待利回りを足した総合利回りを目安にしていました。優待が魅力的でも、配当と合わせた利回りが低ければ買わない。この基準は今も変わっていません。
投資を続けるうちに、現金で入ってくる配当そのものにも惹かれるようになりました。高配当株を意識し始めたのはそこからです。
最初から高配当株投資をしていたわけではなく、優待株を入口に、配当と優待の両方を見ながら投資を覚えていった。配当への関心が強くなったのは、その後です。配当利回りの仕組みそのものは「高配当株とは?配当利回りの仕組みをわかりやすく解説」で解説しています。
総合利回り5%以上を入口にする
優待銘柄を選ぶとき、最初に見るのが総合利回りです。
計算式はこうなります。
総合利回り =(年間配当金 + 年間の優待価値)÷ 株価
100株でもらえる優待なら100株を基準に計算します。200株、300株で内容が変わる銘柄は、それぞれの株数で計算し直す。同じ銘柄でも、株数によって総合利回りは変わります。
たとえば株価2000円、年間配当が1株60円、100株で3000円分の優待がもらえる銘柄。投資額は20万円で、配当が6000円、優待が3000円です。合わせて9000円なので、総合利回りは4.5%になります。
配当だけを見れば3%です。優待を足すと1.5%上乗せされる。優待株を配当利回りだけで判断すると、この上乗せ分が見えません。
私が目安にしているのは5%以上です。
ただし、5%を超えていればすぐに買うわけではありません。業績、財務状況、配当と優待の継続性、今の株価が割高か割安か。ここを確認してから判断します。総合利回りは候補を絞り込むための入口であって、購入を決める基準ではない、という位置づけです。
なぜそこまで確認するのか。優待だけを目的に買うと、痛い目に遭うからです。
優待が消えて、株価も落ちた
アドバンスクリエイトは、優待内容に惹かれて買った銘柄でした。その後に優待が休止となり、株価も下がったため損切りしています。
千趣会も優待目的で長く持っていましたが、少し前に優待が廃止されました。業績不振による廃止だったので、株価も大きく下落。全株を売却し、損失を確定させました。ココスも優待廃止をきっかけに売却した銘柄です。
優待目的で買った銘柄で優待がなくなると、負の効果が二重に効きます。優待を受け取れなくなるうえに、優待狙いで買っていた株主が売るため株価まで下がる。含み損が膨らみます。
株主優待は、企業が個人投資家を集めるための手段です。裏を返せば、企業の判断でいつでも廃止できる制度でもある。
だから、優待以外に魅力がない銘柄には慎重になります。優待が廃止されたら、その時点で売却するしかなくなるからです。業績も悪く、配当も割安感もない株を、優待がなくなった後まで持ち続ける理由はありません。
逆のパターンもあります。JTやオリックスは、以前は優待も魅力的な銘柄でした。優待が廃止された今も保有を続けています。配当や企業そのものに魅力があるからです。
判断の順番はこうなります。優待は候補を見つけるための入口。買うかどうかを決めるのは、優待を除いた企業の中身です。
もっとも、そう考えて買っても、予想に反して優待が廃止され、売却して損失を確定したことは何度もあります。優待株投資をする以上、これは受け入れるしかないリスクです。
優待の魅力だけで買っている銘柄もある
例外もあります。ジーイエット、RIZAPグループ、フォーシーズHDあたりは、優待そのものの魅力で保有している銘柄です。
企業からいただける優待が、自分の生活でどれだけ使えるかを考えて買っています。優待が廃止されれば売却することになる、と分かったうえでの保有です。
優待しか魅力がない銘柄を買うなら、そのリスクを飲み込めるほど優待に魅力があるかどうか。ここが分かれ目になります。
継続性も確認が必要です。レボリューションは優待の新設を発表しながら、一度も実施しないまま廃止になりました。高利回りの優待があるという情報だけで買うと、こういうことが起こります。
2025年、優待で減った生活費
2025年に受け取った優待は、金額換算で約24万円分でした。
主な銘柄と優待の内容を並べてみます。
- オートバックス:車のタイヤ代に充当
- エディオン、ヤマダ電機:家電用品の購入
- DCM:日用品の購入
- ライオン、王子ホールディングス、日本紙パルプ商事:洗剤やティッシュなどの日用品
- 食事券がもらえる銘柄:家族での外食費
- QUOカード:コンビニや普段の買い物
どれも、優待がなければ現金で払っていた支出です。タイヤは定期的に交換が必要になる消耗品です。洗剤もティッシュも、なくなれば必ず買うものになります。
優待をもらって嬉しいという話ではなく、もともとあった支出を優待で置き換えているという感覚に近い。だから銘柄を選ぶときも、何がもらえるかより、家族の生活の中で本当に使えるかを重視しています。
年24万円は、月あたり平均2万円になります。我が家の月の生活費は45万円ほどなので、その5%弱にあたります。割合としては大きくありませんが、確実に減る支出という点で、投資のリターンとしては実感しやすい。
株価の値上がりは、売らないかぎり生活に何も変化は起こりません。評価額が100万円増えても、その日の買い物が安くなるわけではない。優待は届いた時点で使えます。タイヤを交換した日に、財布から出ていくお金が実際に減る。
同じ金額でも、優待で使えるものと現金では価値が違うという見方もあります。届いた優待券が自分の生活で使えなければ、それは金額換算どおりの価値になりません。使い道のない優待は、家に置いたまま期限が切れます。だから金額の大きさより、生活に合っているかを先に見ています。
支出を仕組みで減らす考え方は「家計管理の方法|初心者でも挫折しない仕組みの作り方」にまとめています。
下落局面で優待株に助けられた
長期で持つうえで、優待株にはもうひとつの効果があります。
相場が大きく下げる局面でも、優待株は下落が緩やかに感じられることがありました。優待を受け取り続けたいという理由で売らない株主が、一定数いるためだと考えています。
すべての優待株に当てはまる話ではありません。業績不振による優待廃止と株価下落が同時に来ることもある。それでも、株価が下がっているときに「優待は続いているから、もう少し持っていよう」と思えることは、売らずにいられる支えになりました。
株価の回復や配当の復活を待つあいだも、優待は届きます。含み損を抱えた画面を見ながら、その企業の商品を使っている。届けられる優待品に癒されながら企業の復活を待つ。この距離感が、優待株投資を13年続けてこられた理由のひとつだと感じています。
これから始めるなら
最初にやることは、自分が普段使っている店やサービスをイメージすることです。
よく行くドラッグストア、家電量販店、飲食チェーン。日常的に買っている商品のメーカー。そこに株主優待があるかを調べます。生活の中で確実に使える優待でなければ、支出は減りません。
候補が見つかったら、優待の内容から一度離れます。業績はどうか、財務は健全か、配当は出ているか、株価は割高でないか。優待を除いてもその企業を持つ理由があるかを考える。優待以外に何もないなら、廃止されたら売ることになると理解したうえで判断します。
始めるときは、いきなり大きな金額を投じないほうがいい。まずは生活に合う優待銘柄をひとつ探して、実際に受け取って使ってみる。そこで初めて、生活費がどう変わるかが分かります。
優待の選び方や、避けたほうがいい銘柄の見分け方は、近日公開する記事で詳しく書きます。
まとめ
- 株主優待は、買う予定だった支出を置き換えられる制度。2025年は約24万円分を生活費に充てた
- 銘柄選びは総合利回り5%以上を入口にして、業績・財務・継続性を確認してから判断する
- 優待だけが魅力の銘柄は、廃止されれば売却することになる。それを承知で買えるかを考える
優待株も高配当株も、証券口座がなければ始まりません。今後、SBI証券と楽天証券を13年使ってきた比較記事を公開予定です。口座選びで迷っている方は、そちらも参考にしてください。
