人生の優先順位が変わった瞬間|仕事は大切なまま、向き合い方が変わった

価値観・FIRE思考

家族を優先したいときに、迷わず優先できる生活がしたい。そう思うようになったのは、ある日突然ではありませんでした。子どもの体調不良と仕事の予定が重なるたびに調整を繰り返し、気づけば優先順位が入れ替わっていました。

仕事が嫌になったわけではありません。大切に思う気持ちはそのままに、向き合い方が変わりました。

私は40代の公務員で、2027年3月にサイドFIREを予定しています。サイドFIREの考え方は「サイドFIREとは?フルFIREとの違いと現実」で解説しています。この記事では、優先順位が変わるまでの場面と、そのとき考えたことをまとめます。

この記事でわかること
  • 優先順位が変わったと自覚した場面
  • 休暇制度を使っても両立が楽にならなかった理由
  • 仕事を大切に思いながら、向き合い方をどう変えたか

変わる前、仕事は生活の柱だった

仕事を人生の最優先にしていたわけではありません。ただ、稼がなければ生活は成り立たないので、優先度は高い位置にありました。やりがいを感じた時期もあります。

子どもが生まれる前は、責任感や使命感から、仕事を最後までやり遂げることを重視していました。必要なら勤務時間外も使い、自分が納得できるところまで仕上げる。それに抵抗はありませんでした。

長く続けてきた職場で、思い入れもあります。給与に見合う成果は出したいですし、頑張っている後輩や部下には、できる限りのことを伝えたい。この気持ちは今も変わっていません。

子どもの体調不良と仕事が重なった日々

育休から復職すると、生活のリズムは一変しました。帰宅後は妻と家事・育児を分担し、翌日の準備もあります。自然と定時退社を意識するようになりました。日々の過ごし方の変化は「家族との時間を優先して気づいたこと|お金と時間の使い方を見直した記録」にまとめています。

両立の難しさを最も感じたのは、子どもの体調不良と仕事が重なったときです。

感染症にかかったときや、保育園から急な発熱の連絡があったとき。保育園の決まりで、熱が下がってもしばらく登園できないことがあります。その日だけでなく、翌日以降の仕事も調整しなければなりません。

一方で、仕事には重要な会議や対外的な対応が入っています。自分が担当していて、簡単には代わりを立てられない予定です。

そのたびに夫婦で相談しました。お互いの予定を並べ、仕事の重要度を比べて、どちらが休むかを決める。夫婦ともに責任のある立場にいたので、どちらかが簡単に休めるわけではありませんでした。

職場の人は「子どものことだから仕方ない」「お互いさまだから気にしないで」と声をかけてくれました。理解のある職場だったと思います。

それでも、私はどうしても気にしてしまう性格でした。休むことそのものより、誰が休むかを考え、仕事を調整し、周囲に気を遣う。その一連の流れが大きなストレスになっていました。

同じことは一度では終わらず、何度も起きました。子どもが1歳のころには父の手術も重なり、付き添いのために仕事を調整する日が続いた時期もあります。

家族を優先したい気持ちと、職場での責任を果たしたい思いの間で揺れました。仕事にも家庭にも関わりたいのに、どちらにも十分に向き合えない。このジレンマを繰り返すうちに、少しずつ考え方が変わっていきました。

休暇制度を使っても、両立は楽にならなかった

休む制度がなかったわけではありません。私は子の看護休暇や有給休暇を使い、妻も時差出勤や時短勤務を活用していました。休むこと自体に、大きな不便はありませんでした。

ただ、制度を使えることと、無理なく両立できることは別の問題です。理由は3つあります。

1つ目は、急な休みには制度があまり効かないことです。有給休暇を取っても、仕事の調整は必要になります。朝に発熱がわかって休む日は、制度があっても負担は軽くなりませんでした。

2つ目は、家庭の時間割が固定されていたことです。我が家は、朝は私が保育園に送り、夕方は妻が迎えに行くのが基本でした。私の出勤時間と妻の退社時間が決まっているため、時差出勤で柔軟に動く余地は小さかったのです。在宅勤務も仕事の性質と合わず、子どもが家にいる状態で集中するのは難しいと感じていました。

3つ目は、休んでも仕事は消えないことです。代わってもらえる仕事ならまだよいのですが、担当者に依存する仕事は穴埋めできません。休んだ分は、どこかで取り戻す必要があります。責任のある立場だった分、休むことによる影響や周囲への負担を、余計に気にしていたと思います。

子育て中の人は、多かれ少なかれ同じ状況で両立しているはずです。自分たちだけが特別に大変だとは思っていません。性格的に気にしすぎた面もあるでしょう。

それでも、我が家にとっては相当なストレスでした。いつ休むかわからない状況で、責任の重い役割を担うこと自体が難しいのではないか。そう感じた日もあります。

本来は、誰かが休んでも業務が回るよう、組織として情報共有やバックアップの体制を整えるべきなのだと思います。とはいえ、それは個人の努力ですぐに変えられるものではありません。制度を使い、自分なりに工夫を重ねても、それだけでは解決しない。そう感じたことが、働き方そのものを見直すきっかけになりました。

子どもが独り立ちするころ、自分は65歳前後になる

私は子どもを授かるのが遅く、40代になってから子育てが始まりました。子どもが独り立ちするころ、自分は65歳前後で、定年退職を迎える年齢です。

若いころなら「大変な時期を乗り切れば、その先に余裕が生まれる」と考えられたと思います。私の場合、子育てがひと段落したら、その先にはすぐ老後が待っています。自分の時間をあとで取り戻す、というわけにはいきません。

これからの約20年をどう過ごすか。それが人生の満足度を大きく左右すると考えるようになりました。

子どもと過ごす時間、夫婦の時間、家族で過ごす時間、自分の時間、健康に過ごせる時間。どれも無限にあるわけではありません。

仕事のストレスを抱え、周囲に気を遣いながら、その都度難しい判断を重ねる。それを定年まで続けることが、自分や家族にとってプラスになるのか。どうしても、そうは思えませんでした。

家族の事情や仕事の都合に振り回されず、自分が大切だと思うことを、自分で判断して選べる状況をつくりたい。その思いが強くなっていきました。

仕事に使う時間を調整し、家族や自分の時間を確保する。そうした生き方を考える中で、サイドFIREに魅力を感じるようになりました。決意までの経緯と資産の準備は「資産9000万円の40代公務員がサイドFIREを決意した理由と戦略」で解説しています。

変わったもの、変わらなかったもの

仕事への向き合い方で一番変わったのは、「どこまで仕上げるか」の基準です。

以前は、納得できる最高の水準まで仕上げようとしていました。今は、勤務時間内に仕事を終わらせることを主眼に置いています。そのために、求められる水準を満たす、いわば合格点を取ることを意識するようになりました。それ以上を目指す時間の余裕がないからです。

責任を果たしたい気持ちは、今もあります。ただ、使える時間には限りがあり、すべてに十分な時間と労力はかけられません。気持ちと、現実にできることとの間で、折り合いをつける必要が出てきました。

この働き方で本当にいいのか、迷うこともあります。役職が上がり、さらに大きな責任を担ったとき、勤務時間内でできる範囲に対応を限る働き方で組織を引っ張れるのか。その疑問に、まだ答えは出ていません。

だからといって、家族の時間を犠牲にして、以前と同じ働き方に戻りたいわけでもありません。

仕事への意欲がなくなったのとは少し違います。自分のライフスタイルに合った働き方を探す機会になった。今はそう受け止めています。

両立に悩み始めた人へ、最初にやってほしいこと

ステップ1:これからの時間の見取り図を描く

最初に考えてほしいのは、自分と家族がこれからどう時間を過ごしたいかです。

子どもの年齢と自分の年齢を並べてみましょう。子育てに時間を使う期間、夫婦で過ごす期間、老後の期間が、それぞれどのくらいあるか。私の場合は、子どもの独り立ちと定年がほぼ重なることに、並べてみて気づきました。

見取り図があると、何を大切にしたいかと、何の優先順位を下げるかが見えてきます。今の働き方でできることと、難しいことの境目もはっきりしてきます。

ステップ2:仕事の完成度の基準を見直す

私は「最高の水準」から「合格点」に基準を変えて、勤務時間内に仕事を終えやすくなりました。

ただし、誰にでも合う方法ではありません。仕事の完成度そのものにやりがいを感じる人には、合格点でよしとすることが、かえってストレスになるかもしれません。以前の私も、どちらかといえばそちら側でした。

とはいえ、すべてに全力で取り組む以外の方法があると知っておくだけで、選択肢は広がります。

ステップ3:職場への相談は、期待しすぎずにする

上司や職場に相談するのも一つの方法です。現実的な対策が見つかる可能性もあります。

ただ、相談すれば必ず解決するとは限りません。体制によっては、自分の仕事が誰かに回り、その人に負担が集中することもあります。一人が休むだけで業務が回らないなら、それは個人の工夫では解決しにくい、組織の課題です。理想の働き方が実現できると、過度に期待しないことも大切だと思います。

私自身は、今の環境で工夫を重ねるだけでなく、環境そのものを変える選択肢も考えるようになりました。

ステップ4:「こうあるべき」をいったん外す

「仕事は続けるもの」「責任ある立場なら仕事を最優先すべき」「子育て中は今を乗り切るしかない」。こうした考え方が、いつの間にか選択肢を狭めていることがあります。

固定観念を一度外してみると、今まで思いつかなかった選択肢が見えてくるはずです。

考えたからといって、すぐに答えが出るわけではありません。私の考え方も、両立の悩みを重ねる中で少しずつ変わりました。焦って結論を出す必要はないと思います。

まとめ

  • 優先順位が変わったのは特定の日ではなく、子どもの体調不良と仕事の調整を何度も重ねる中でした
  • 休暇制度は使えても、急な休み・固定された時間割・休んでも消えない仕事のために、両立は楽になりませんでした
  • 仕事は今も大切です。変わったのは、仕事にかける時間と完成度の基準でした

優先順位が変わってから、自分にとって何が大切なのかを考える機会が増えました。そこで気づいたことは、近日公開予定の「お金より大切だと気づいたこと」で振り返ります。

仕事に使っていた時間を、これから何に使いたいのか。その答えは、今後公開予定の「FIRE後にやりたいことをすべて書き出してみた」で整理する予定です。

次のアクション

子どもの年齢と自分の年齢を並べた表を、1枚つくってみてください。何を大切にしたいかを考える出発点になります。

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