2025年4月、保有している株式と投資信託の評価額は、1か月ほどで400万円近く減りました。毎日のように資産が目減りしていく画面を見て、気持ちのいいものではありませんでした。
それでも、売却は一切していません。生活も普段どおりでした。平常心でいられたのは、感情を抑え込んだからではなく、崩れない仕組みが先にあったからだと思っています。
- 暴落の渦中で実際に起きる心理の変化
- 含み損を抱えながら生活を崩さずにいられた理由
- 次の下落に備えて今日から作れる買い増しルール
最初に感じたのは「先が読めない」ことへの不安
下落が始まった時点で、今回はそれなりに下がるという感覚はありました。不安がなかったと言えば嘘になります。
怖かったのは、下落そのものより理由の方でした。今回のきっかけは関税政策です。どこまで関税が広がるのか、世界経済や企業の業績にどれだけ影響するのか、渦中では誰にも分かりませんでした。
特定の企業の業績が悪化して株価が下がるなら、決算資料を読めば判断できます。ところが政策が原因の場合、判断材料そのものが存在しません。「この会社が危ない」ではなく「これから何が起こるか分からない」という状態が、いちばん落ち着かない時間でした。
下落が続くと、気持ちの向きが変わった
数日たっても下げ止まらない状況が続くと、感覚が少しずつ変わっていきました。
最初は「どこまで下がるんだろう」と考えていました。それが「ここまで下がったなら、短期の値動きを気にしても仕方がない」という方向に移っていきます。
長期で投資している以上、株価が下がったことは投資をやめる理由になりません。むしろ普段は割高で手が出せない銘柄が、買える価格に近づいてくる場面でもあります。
ただし、底を当てにいこうとは考えませんでした。下げ止まる価格を予測するのは不可能ですし、当てにいった時点で判断が感情に引っ張られます。
平常心を支えた2つの土台
暴落を乗り切れた理由を振り返ると、その場での意志の強さではありませんでした。あらかじめ用意されていた土台が2つあります。
コロナショックで「戻る」を体感していた
2020年当時は、渡航が止まり、人の移動そのものが制限されました。世の中がこの先どうなるのか、想像がつかない状況だったと記憶しています。
それでも数年で株価も経済活動も回復しました。もちろん、バブル崩壊後の日本のように長期の低迷に入る可能性は否定できません。過去に回復した事実は、次の暴落でも同じ期間で戻ることを約束するものではないからです。コロナショックが数年で戻ったからといって、次も数年で戻ると考えるのは危険だと思っています。
それでも、世界経済が長い目で見れば成長を続けてきたことを、自分の資産を通じて一度体感していました。頭で理解しているだけの知識と、自分の資産が減って戻るまでを実際に見た経験とでは、下落局面での落ち着き方が違ってきます。
コロナショックによる下落も、その後の回復も、13年間の資産推移の中に数字として残っています。どの局面でどう増減したかは「13年で資産9000万円達成|リアルな資産推移と再現性ある投資戦略」にまとめています。
回復を待てるだけの現金があった
もう一つは生活防衛資金です。回復までに数年かかったとしても、その間の生活資金に困ることはない状態でした。
暴落時に売らざるを得なくなる人は、意志が弱いのではありません。売らないと生活が回らない状態で投資しているだけです。回復を待てる時間があるかどうかが、行動を決めます。
渦中の生活は、何も変わらなかった
暴落しているからといって、日々の過ごし方が変わることはありませんでした。
評価額を確認する頻度も普段どおりです。その日の下落幅だけは見ていましたが、「今日はこれだけ下がったのか」と思う程度で、金額を何度も見返すことはしていません。
株価やニュース、Xを見る時間は増えました。ただし目的が違います。不安で情報を集めていたのではなく、買い場を探すために見ていました。
大きく下げている局面では、普段なら割高に感じる銘柄が割安な水準まで落ちてきます。気になっていた銘柄が、自分の決めた価格に近づいていないかを確認する時間でした。
仕事中に株価が気になって手が止まることもありません。家族との過ごし方も、生活のリズムも変わりませんでした。家庭内で「下がっているね」と話題に出ることはあった、その程度です。
「平気だった」という意味ではない
まったく気にならなかったわけではありません。評価額が減り続ければ、このままもっと下がったらどうなるのだろうと考えます。不安も緊張もありました。
それでも、生活を変えるほどの不安ではなかったのです。仕事や家族との時間を削ることなく、投資については「買い場が来ているかもしれない」と見ていられました。
裏を返せば、自分にとって無理のない規模で投資できていたということだと思います。暴落は、投資額が自分の許容範囲に収まっているかを測る機会でもありました。
やってはいけない行動を整理した「暴落時にやってはいけない行動5選|資産を減らさないための注意点」と合わせて読むと、行動と心理の両面から見えてくるはずです。
唯一の反省点は、計画性
今回の下落での行動に大きな後悔はありません。新規購入も買い増しもできましたし、投資方針を変えずに乗り切れました。
強いて挙げるなら、買い増しをもっと計画的にできたかもしれません。
暴落中に底を見通すことはできません。だからこそ下落幅ごとに買う株数と金額を先に決めておけば、限られた資金をより効率よく使えたはずです。
ただしこれは、結果を知っている今だから言えることでもあります。渦中では「まだ下がるかもしれない」と思えば慎重になりますし、「もう割安だ」と思えば今すぐ買いたくなります。もっと下で買えたはずだと後から責めるのは、少し違うと考えています。
反省として残ったのは、買値を外したことではありません。決め方を事前に用意していなかったことの方です。暴落のたびにその場で考えていては、判断の質が体調や気分に左右されます。
事前にルールを決めて、そのとおりに動く。この繰り返しが13年間で大きな失敗を避けることにつながりました。その積み重ねは「投資で大失敗しなかった理由|地味な選択を続けてきただけです」でも書いています。
次の暴落に備えて、今できること
感情はその場でコントロールできません。だからルールを先に作っておきます。私が次に備えるとしたら、次の手順で準備します。
ステップ1: 買い増す対象を絞る
私が暴落時に買い増すのは個別株だけです。投資信託は毎月の積立を止めずに続けるだけなので、判断が必要なのは個別株に限られます。
対象を絞ると、暴落中に考えることが減ります。判断の数が少ないほど、迷いも少なくなります。
買い増しの判断が必要なのは個別株だけという整理は、自分の投資の全体像が決まっているから成り立ちます。何をどの順番で組み立てるかは「投資初心者は何から始めるべきか?最短ルートを解説」で解説しています。
ステップ2: 銘柄ごとに買値と株数を決める
保有銘柄・候補銘柄について、業績や財務の指標を確認したうえで「この銘柄が◯円になったら何株買う」という基準を作ります。
決め方は2通りあります。株価そのものを基準にする方法と、暴落前の価格から何割下がったかを基準にする方法です。どちらでも構いませんが、金額まで決めておかないと当日に迷います。
ステップ3: さらに下げた場合の追加分も決める
一度で使い切らないことが要点です。1段目を買った後、そこからさらに下落した場合に何株を追加するかまで決めておきます。
想定する下落幅の目安は、過去の暴落実績を参照します。過去最大級の下落と同じ水準までシミュレーションできていれば、備えとしては足りると考えています。
考え方の土台になる部分は「資産形成で最も大切な考え方とは?」でまとめています。
まとめ
- 暴落中の不安は感じて当然。ゼロにする必要はなく、生活が崩れなければ十分
- 平常心を支えるのは意志ではなく、過去の経験と回復を待てる現金という仕組み
- 次の備えは感情ではなくルールで作る。銘柄ごとの買値・株数・追加分を先に決めておく
保有銘柄を1つ選び、「◯円まで下がったら何株買うか」を今日書き出してみてください。暴落が来てから考えるより、はるかに冷静な判断ができます。
暴落を乗り越えた先で資産がどう動いたかは、「資産が増え始めた瞬間の話|複利を実感できたきっかけ」の記事で公開予定です。
