資産が増えている実感が、なかなか湧かない。私も同じでした。転換点は、資産がまとまった金額に届いた日ではありません。1年間の資産増加額が、自分の年収を超えた時でした。
投資を続けていても残高の伸びは緩やかで、本当にこのペースでいいのか分からなくなる。そんな時期が私にもありました。気づいたのは、毎年つけている記録を見返していた2018年の年末です。
- 資産が増え始めたと実感したタイミングと、その時の資産額
- 「貯めて増やす」から「資産が資産を生む」に変わる時、数字のどこが変化するのか
- 資産が増え始めた時期に、やっておくべきだったと感じていること
転換点は2018年でした。1年間の資産増加額が約680万円になり、私自身の年収を初めて上回った年です。到達した金額ではなく、増え方の構造が変わったことが、実感につながりました。
資産が増えたと感じたのは、金額に届いた時ではなかった
「いくら貯められたか」で資産額が決まっていた頃
投資を始める前、その年の資産額は給与からいくら貯められたかで決まっていました。
貯蓄額を増やすには、収入を増やすか支出を減らすしかありません。当時の私にとっての資産形成とは、その2つを続けることでした。
私が株式投資を始めたのは2013年です。株主優待の銘柄を買うところから入りました。その頃の経緯は「投資を始めたきっかけ|私が最初の一歩を踏み出した理由」にまとめています。
投資を始めてからも、しばらくは貯蓄が主役のままでした。運用益がなかったわけではありません。ただ、その金額が小さかったのです。
資産100万円が5%増えても5万円にしかなりません。月に4万円を貯金したほうが、資産への影響は大きくなります。だから意識は自然と、貯める側に向いていました。
4年分の記録を並べて気づいた変化
2014年から、毎年末に家計の資産額を記録しています。
始めた理由は単純で、去年より増えたのかを知りたかったからです。家計簿のように細かくはつけていません。年に1度、預金・投資信託・株式の残高を書き出すだけの記録です。
この習慣が、後になって効きました。
数年分を並べると、単年では見えないものが見えてきます。増えた年と減った年、増え方そのものが変わっていく様子です。13年分の資産推移は「13年で資産9000万円達成|リアルな資産推移と再現性ある投資戦略」で公開しています。
変化に気づいたのは、2018年の記録を書き足した時でした。
数字で見た転換点
1年で約680万円増えた年
2017年末の資産は約2450万円、2018年末は約3130万円。1年で約680万円増えていました。
それ以前も資産は増えています。増えた金額ではなく、増え方が違いました。
投資に回した金額を、増加額が上回っていた
その年、夫婦で年間250万円以上を投資に回していました。
内訳は、旧NISAの投資枠を夫婦それぞれ120万円ずつ使って年間240万円。これに特定口座での買い付けが加わります。
投資額が夫婦合算なのに対して、私自身の年収は500万円台でした。
この250万円は、その年の収入だけから出したものではありません。それまでに貯めた預金からも回しています。年収500万円台の給与収入だけで、毎年250万円を投資に回すのは簡単ではありません。手元に積み上がっていた預金を、少しずつ投資へ移していた時期でした。
それでも資産の増加額は、投資に回した金額の2倍を超えていました。
この約680万円がすべて運用で増えた分ではありません。給与から貯めた分も含まれています。それでも、自分たちが入金した金額だけでは説明のつかない伸びでした。
働いて得る年収より、資産の増加額が大きくなった
1年働いて得る収入より、資産が1年で増えた金額のほうが大きい。数字にすれば、それだけのことです。
ただ、この逆転には意味がありました。
それまでの資産形成は、働いて、余ったお金を投資に回すという一方通行でした。資産が増えるスピードは、自分の稼ぎと節約の努力に縛られていたのです。
その年、資産のほうが私より多く稼いでいました。
リスク資産が2000万円を超えたあたりから、運用による増減は無視できない金額になります。1%動けば20万円です。積み上げた資産そのものが、資産形成の速度を決め始めます。
ちょうどこの頃は、まとまった支出が続く時期でもありました。
支出がかさんだ年なのに、資産全体は増えている。この時に、好循環に乗ってきたという感覚が初めて出てきました。
「これまで積み上げてきた資産が、自分の代わりに働いてくれている」
数字を通してそう感じたのが、この年でした。
増え始めた時期に、やっておけばよかったこと
「これだけ増えたのだから、多少下がっても大丈夫」と思っていた
この時期の自分に一つだけ伝えられるとしたら、増えることと同じだけ減ることも考えておけ、と言います。
大きな失敗はしていません。資産が増えたからといって、急にリスクを取ったり投資方針を変えたりもしませんでした。
ただ、意識が増える側に偏っていました。これだけ増えてきたのだから多少の下落は大丈夫だろうと、漠然と考えていたのです。
その「多少」がいくらなのかを、一度も数字にしていませんでした。
資産が増えると、下がる時の金額も大きくなる
資産が2000万円、3000万円と増えれば、運用による増加額は大きくなります。同じ比率で、下落した時に減る金額も大きくなります。
資産500万円の時の2割減は100万円です。3000万円なら600万円が消えます。率は同じでも、口座で目にする金額はまったく違います。
増える側の数字だけを見て喜んでいると、この非対称に気づきません。
下落のルールは、相場が穏やかなうちにしか作れない
私はその後、コロナショックをはじめ複数の下落局面を経験しました。そこで分かったのは、暴落が起きてからルールを考えるのでは遅いということです。
含み損を抱えた状態では、冷静な判断がしにくくなります。判断の基準は、相場が穏やかなうちにしか作れません。
今なら、資産が増えてきた段階で次の3つを決めておきます。どこまでの下落なら耐えられるのか、現金をいくら残しておくのか、下がった時に何をするのか。
実際に含み損を抱えながらどう過ごしたかは「暴落の乗り越え方|含み損を抱えながら平常心を保てた理由」にまとめています。
資産形成が順調に見える時期こそ、リスクとの付き合い方を決めるタイミングでした。
資産より先に、家計のほうが変わった
我流の節約から、満足度を下げない見直しへ
資産が増え始めた頃に変わったのは、投資への向き合い方だけではありません。家計の見直しが同時に進みました。
それまでも無駄遣いはしないようにしていました。ただ、我流です。安いほうを選ぶ、買わずに済ませる。その程度でした。
書籍やYouTubeで資産形成を学ぶうちに、支出を減らすことと満足度を下げることは別だと知りました。
保険を見直し、通信費を見直す。固定費は一度削れば、翌年以降も効き続けます。一方で、家族との食事のように、削ると生活の質が落ちる支出もあります。
我慢せずに固定費を削る方法は「固定費削減で人生が変わる理由|我慢ゼロで年間48万円浮かせた方法」にまとめています。
「できるだけ使わない」から「満足度の低い支出を減らして、使いたいところに回す」へ。家計に対する考え方がこの時期に入れ替わりました。
収入・支出・投資の順番で考えるようになった
資産が増えてくると、意識は運用のほうに向きがちです。利回りを何%上げるか、どの商品を選ぶか。
当時の私に効いたのは、そこではありませんでした。いくら投資に回せるかを、家計から作り出すことです。
収入を得て、支出を最適化して、残りを貯蓄か投資に回す。この順番を意識するようになったことが、その後の資産形成の土台になりました。
資産を増やすうえで何を大切にしてきたかは「資産形成で最も大切な考え方とは?」にまとめています。
まだ実感がない人へ
投資額は、家計から逆算して決める
実感が湧かない時期でも、焦る必要はありません。
私も資産が500万円、1000万円、1500万円の頃は、資産が資産を生む感覚はありませんでした。その段階では、自分の収入から投資に回すことが資産形成の中心です。
大切なのは、投資額を無理に増やすことではありません。毎年いくら投資に回せるのかを家計から計算して、その金額を続けることです。
私が2017年に年間250万円以上を投資できたのは、夫婦2人分のNISA枠を使っていたからです。誰もが同じ金額を投資する必要はありません。家族構成も収入も生活費も違います。
まずは自分の家計から無理なく出せる金額を計算してみてください。
資産500万円、1000万円の段階でやること
投資額を決めるのと同時に、家計の見直しを進めてください。
固定費を1つ削れば、その効果は毎年続きます。私はスマホ代を月1万円から2千円まで下げました。年間で約10万円が浮き、そのまま投資に回せる金額になります。
資産500万円の段階では、運用による増加額は年に数万円から十数万円です。物足りなく感じると思います。
それでも、その資産が土台になります。土台が大きくなるほど、運用で増える金額も大きくなる。2000万円を超えたあたりから、その金額は無視できないものになってきます。
自分の場合は最終的にいくら必要なのか。その計算の考え方は「FIREに必要な資産はいくら?4%ルールは古い」にまとめています。目標額が決まれば、今の積み上げがどこに向かっているのかが見えてきます。
家計を整えるのは、資産が2000万円、3000万円になってからでは遅いと感じています。500万円、1000万円の段階で投資に回せるお金を増やし、その資産を長く市場に置いておく。後の増え方を決めるのは、この時期の積み重ねです。
実感は、ある日突然は来ない
資産が増え始めた瞬間を、私はリアルタイムでは認識していませんでした。
気づいたのは記録を見返した時です。以前より増えるスピードが速くなっていると、後から分かりました。
増え始める瞬間に、通知が来るわけではありません。口座の画面が変わるわけでもありません。積み上げを続けた先で、振り返って初めて見えるものでした。
年に1度でいいので、資産額を書き出しておいてください。数年後、その記録が自分の変化を教えてくれます。
まとめ
- 転換点は到達額ではなく、1年間の資産増加額が自分の年収を超えた時だった(2017年末 約2450万円 → 2018年末 約3130万円)
- 増加額は投資に回した金額の2倍を超え、自分たちの入金だけでは説明のつかない伸びになっていた
- 増えることに意識が偏り、下落時のルールを平常時に決めていなかったことが、この時期の唯一の反省点
資産が増える実感は、狙って手に入れるものではありません。家計から投資に回せる金額を決めて、それを続けた先に、記録の中から現れます。
次にやることを1つだけ挙げるなら、今年いくら投資に回せるのかを家計から計算してみてください。金額が決まれば、あとは続けるだけです。
この後、資産が5000万円を超えた時に何が変わったのかは「資産5000万円を超えた時に起きた変化」として近日中にまとめる予定です。
