- 似た投資信託が並んだとき、何を基準に絞り込むか
- 同じ指数に連動するファンド同士で、実際に何が違うのか
- 「除く日本」と「オール・カントリー」をどう判断したか
- ファンドを選ぶことより大切だったこと
信託報酬に大きな差がないなら、比較の軸は「管理のシンプルさ」でいい。
投資信託を選ぼうとして、手が止まったことはありませんか?
S&P500に連動するファンドだけでも、運用会社ごとに何本もあります。名前が似ていて、信託報酬も小数点以下の差。
どれを選んでも大差ないように見える。だからこそ決められない。
私の口座には今、同じS&P500に連動するファンドが2本あります。全世界株式も「除く日本」と「オール・カントリー」の2本。意図して分散させたわけではなく、積立先を変えてきた結果です。
投資歴13年、投資信託の投資歴は約4年。その中で見えてきた絞り込み方を書きます。
似た投資信託で迷うのは、当然のこと
比較の基準そのものが、どれも似た数値になる
投資信託を選ぶとき、見るべき項目は決まっています。信託報酬、投資対象、純資産総額。この3つを確認する流れは「投資信託とは?仕組み・種類・選び方を初心者向けに完全解説」で書きました。
低コストのインデックスファンド同士を並べると、この3項目がほぼ横並びになります。
信託報酬はどちらも0.1%を切る水準。純資産はどちらも兆円単位。投資対象は同じS&P500。この状態で「基準に従って選べ」と言われても、答えは出ません。
基準を知っていることと、1本に決められることは別の話でした。
同じ指数のファンドが、複数の運用会社から出ている
S&P500に連動するファンドは、eMAXIS Slimシリーズにもあれば、SBI・Vシリーズにもあります。全世界株式も同じ状況です。
中身はほぼ同じ。違うのは運用会社だけ。
迷うのは読者の理解が足りないからではなく、商品の側がそもそも見分けにくい構造になっているからです。
見分けなくていい違いと、見分けるべき違いがある
似ているように見える2本でも、性質は2種類に分かれます。
運用会社が違うだけで、連動する指数が同じもの。これは中身がほぼ同じなので、どちらを選んでも結果は大きく変わりません。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とSBI・V・S&P500インデックス・ファンドがこれにあたります。
一方、名前は似ているのに連動する指数が違うものがあります。ここは見分ける必要があります。
私の口座には、SBI・V・全米株式インデックス・ファンドも残っています。「米国株式」という言葉は同じです。ただしS&P500は大型株500銘柄が対象。全米株式は中小型株まで含めた米国市場全体が対象です。
「除く日本」と「オール・カントリー」も同じ関係になります。名前が1語違うだけで、投資先の範囲が変わる。
| 商品名 | 連動指数 | 対象範囲 |
|---|---|---|
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | S&P500 | 米国の大型株が中心 |
| SBI・V・S&P500 | S&P500 | 米国の大型株が中心 |
| SBI・V・全米株式 | CRSP USトータル・マーケット | 米国市場全体(中小型株も含む) |
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | MSCI ACWI | 世界株式(日本を含む) |
| eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | MSCI ACWI(除く日本) | 世界株式(日本を除く) |
見分け方は単純で、商品名ではなく連動対象の指数を見ることです。指数が同じなら比較を打ち切っていい。指数が違うなら、投資したい範囲がどちらかを考える。
私が長く迷っていたのは、この2つを区別せずに全部を横並びで比べていたからでした。
証券会社の都合でも、商品選びは揺れる
ポイント還元やクレカ積立の条件は、証券会社ごとに違います。ここが変われば、有利になるファンドも変わる。
私自身、この揺れに素直に従って積立先を変えてきました。その結果が、今の複数保有です。
私の口座に、同じ指数のファンドが2本ある理由
実際の保有状況
特定口座の中身を並べると、こうなっています。
| ファンド名 | 積立状況 | 評価額 | 含み益 |
|---|---|---|---|
| SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 停止(保有継続) | 約73万円 | +230% |
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 積立中 | 約65万円 | +115% |
| eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 停止(保有継続) | 約47万円 | +135% |
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 積立中 | 複数口座で保有 | – |
同じS&P500に連動する2本を、同じ口座で持っている状態です。全世界株式も似た形になりました。
このほかに新興国株式インデックスや世界経済インデックスファンドが、10万円に満たない額で残っています。きれいなポートフォリオとは言えません。
ここに並んだ評価額は、投資信託だけの数字です。資産の大部分は個別株で持っており、投資信託への積立を数年で止めたファンドの残高がこれにあたります。個別株を含めた全体の内訳は「資産9000万の内訳公開|ここまで増やした全戦略」にまとめています。
積立先を変えてきた4年間
投資信託の積立を始めたのは、新NISAが始まる1年以上前でした。最初はSBI証券です。
その後、楽天証券が楽天キャッシュ決済でポイントを付けるようになり、楽天証券で購入してました。楽天証券ではeMAXIS Slimシリーズを中心に購入していました。
新NISAが始まるタイミングで、今度はSBI証券のクレカ積立の還元を使うため、メインをSBI証券に戻しました。新NISAの枠の考え方は「新NISAとは?初心者が知るべき基本と始め方【2026年版】」で整理しています。
証券会社を変えるたび、その時点で有利なファンドを選び直す。この繰り返しで、口座の中にファンドが積み上がりました。
売らずに残している理由
乗り換えるとき、以前のファンドは売っていません。理由は2つあります。
ひとつは、購入した当時は目的を持って「これが最適だ」と判断して選んだ商品だからです。より良い選択肢が見つかったことと、当時の判断が間違っていたことは別の話です。売却する理由ができるまでは、このまま保有を続けるつもりでいます。
もうひとつは税金です。売却すると含み益に約20%の税金がかかります。含み益230%のSBI・V・S&P500を今売れば、利益の2割が税金として消えます。連動する指数はeMAXIS Slimとほぼ同じなのに、乗り換えのためだけに税金を払う理由が見つかりませんでした。
だから積立は止めて、保有はそのまま。この判断は今も変えていません。
「除く日本」を選んで、やめた話
全世界株式で「除く日本」を選んでいた時期があります。日本株を個別株でそれなりに持っていたからです。
投資信託でまで日本株を買えば重複する。だから海外株式だけでいい。当時はそう考えていました。
今はオール・カントリーに切り替えています。理由は、日本の組入比率が約5%しかないと気づいたことです。
全体の5%を避けるために、商品を1本増やして管理を複雑にする。その手間に見合う効果があるとは思えなくなりました。
判断の軸が「配分の最適さ」から「長く続けやすいか」に移った時期でもあります。
オール・カントリーそのものの中身は「オルカンとは?1本で世界に投資できる最強商品」で扱っています。米国集中との違いは「S&P500とは?長期投資で選ばれる理由を解説」に書きました。どちらを選ぶかまで踏み込んだ比較は「オルカン vs S&P500|どっちを選ぶべきか結論」にまとめています。
比較に時間をかけすぎたことが、いちばんの反省
信託報酬の小数点以下を比べ、組入銘柄の違いを調べ、そのたびに積立先を変えてきました。
振り返ると、この作業に費やした時間の割に、結果への影響は小さかったと感じています。
含み益が230%になったSBI・V・S&P500は、私が「もっといい商品がある」と判断して積立をやめたファンドです。それでも、持ち続けたことで一番大きく育ちました。
資産を増やしたのはファンド選びではなく、途中でやめなかったことでした。
投資を始めた頃の自分に伝えるなら、こうです。低コストのインデックスファンドを1本選んだら、あとは積立先の見直しより継続を優先すること。
短所も書いておきます。積立先を変え続けた結果、資産の全体像は見えにくくなりました。特定口座なので確定申告は不要です。ただしマネーフォワード MEで一元管理していなければ、今どこに何があるか把握しきれなかったと思います。
商品を増やすコストは、信託報酬だけではありません。
迷ったときの3ステップ
ステップ1:信託報酬に大差がなければ、比較を打ち切る
低コストのインデックスファンド同士なら、信託報酬の差は年0.01%程度です。100万円を1年運用して100円の差。
この差を調べる時間を、積立を始める時間に回したほうが効果は大きくなります。
ステップ2:すでに複数持っていても、売って整理しない
古いファンドも、当時は目的を持って選んだ商品です。売却する理由ができるまでは、持ち続けていい。
含み益があるなら、売却は課税のきっかけにもなります。私が古いファンドを持ち続けているのは、この2つの理由からです。
整理したいなら、売るのではなく積立を止めるだけでいい。保有はそのまま置いておけます。
ステップ3:新規の積立先だけ、1本に寄せる
これから買う分をどこに向けるか。ここだけ決めれば、時間とともに保有の中身は自然にシンプルになっていきます。
私の場合、新規の積立はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)に寄せました。過去の保有はそのままです。
口座開設から実際に買い付けるまでの手順は、別の記事でまとめる予定です。
まとめ
- 低コストのインデックスファンド同士なら、比較の軸は管理のシンプルさでいい
- すでに複数保有していても、無理に売却して整理する必要はない
- ファンドを選び直すことより、積み立て続けることのほうが結果に効く
次にやることは1つです。新規の積立先を、納得できるインデックスファンド1本に決める。
過去に買ったものは、そのままでかまいません。これから積み立てる分だけを決めれば、迷う時間は減っていきます。
