配当だけで生活するなら、年間支出550万円の家庭で2億円を超える資産が必要になります。
利回り3%で計算すると1億8300万円。この数字をよく見かけますが、実際に必要なのは2億2900万円です。差は約4600万円。理由は税金で、配当には20.315%かかります。
私は40代の公務員で、投資歴は13年になります。2025年に受け取った配当は税引後で約104万円。それでも年間支出の2割ほどで、配当生活と呼べる状態にはほど遠いというのが実感です。
4年分の配当実績と自分のポートフォリオの利回りをもとに、必要な資産額を計算しました。2億円という数字の手前にどんな通過点があるのかも、実際に受け取った金額で示します。。
- 配当だけで生活するために必要な資産額を、税引後の利回りで計算した金額
- 実際に配当を受け取っている40代公務員の実測値と、生活費に占める割合
- 配当生活を目標にすると遠回りになる理由と、手前に置く通過点
配当生活に必要な資産は2億円を超える
計算式そのものは単純です。
必要な資産 = 年間の生活費 ÷ 配当利回り
問題は、どの利回りを当てはめるかです。税引前の利回りをそのまま使うと、必要な資産は実際より小さく出ます。受け取るときに20.315%が引かれるからです。
税引前3%の利回りは、税引後だと約2.4%まで下がります。
我が家の年間支出は約550万円です。この金額を配当だけで賄うとしたら、必要な資産はこうなります。
- 税引前3%で計算:1億8300万円
- 税引後2.4%で計算:2億2900万円
その差、約4600万円。税金を計算に入れるかどうかだけで、目標額がこれだけ動きます。
利回りは何%で計算するのが妥当か
自分のポートフォリオの実測値を出します。保有する日本の個別株全体(高配当株と優待株を含む)の配当利回りは、取得価格ベースで約4.2%、現在の評価額ベースで約2.93%です。
取得ベースが高いのは、長く持ち続けているからです。買った値段は変わりませんが、企業が増配すれば受け取る配当は増えます。安く買った銘柄が増配を重ねると、自分の取得価格に対する利回りは上がっていきます。
これから買う人が受け取れるのは、評価額ベースに近い数字になります。だから計算には3%を使いました。4%や5%を前提にすると、必要な資産額を実態より小さく見積もることになります。
配当利回りの計算方法は「高配当株とは?配当利回りの仕組みをわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
NISAを使うと必要額は下がる
税金の話には続きがあります。NISA口座で受け取る配当は非課税です。
私の個別株の保有割合は、新NISAが45.9%、旧NISAが13.2%。合わせて約59%が非課税で、残り約41%が特定口座です。配当全体にかかる実効税率は約8%まで下がっています。
全額が特定口座なら20.315%。同じポートフォリオでも、口座の使い方だけで手取りが1割以上変わります。
ただし新NISAの生涯投資枠は1800万円です。数億円の資産すべてを非課税にはできません。現実的な税引後利回りは、2.4%から2.8%のあいだに収まります。
生活費別に必要な資産額
| 年間の生活費 | 税引後2.4%(すべて特定口座) | 税引後2.8%(NISAを一部活用) |
|---|---|---|
| 月20万円(年240万円) | 1億円 | 8600万円 |
| 月25万円(年300万円) | 1億2500万円 | 1億700万円 |
| 月30万円(年360万円) | 1億5000万円 | 1億2900万円 |
| 年450万円 | 1億8800万円 | 1億6100万円 |
| 年550万円(我が家の現在) | 2億2900万円 | 1億9600万円 |
我が家はFIRE後に支出を年450万円まで下げる想定です。それでも1億6000万円台から1億8000万円台が必要という計算になります。現在の資産では届きません。
FIRE全体で必要になる資産の考え方は「FIREに必要な資産はいくら?4%ルールは古い|年金込みで再計算」にまとめています。
配当は4年で3倍になった。それでも生活費の2割
私が実際に受け取ってきた配当です。
| 年 | 受け取った配当(税引後) |
|---|---|
| 2022年 | 約33万円 |
| 2023年 | 約43万円 |
| 2024年 | 約69万円 |
| 2025年 | 約104万円 |
| 2026年 | 140万円超の見込み |
4年で約3倍になりました。増配だけでこうなったわけではありません。毎年買い増しを続けた結果です。
保有しているだけで配当が3倍になるわけではない。元本を積み上げた分が、この増え方に影響しています。
2025年の約104万円は、月平均で8万7千円ほど。年間支出550万円に対して約2割です。月45万円の生活費のうち、9万円弱を配当が負担している計算になります。
食費や日用品といった日々の支出であれば、この金額でひととおり賄えます。ただ、住居費や教育費まで含めた生活費全体には届きません。
配当を生んでいる資産の中身は「資産9000万円のポートフォリオ公開|配当・成長・取り崩しでサイドFIREを実現する方法」で公開しています。
今は資産形成の途中なので、受け取った配当は再投資に回すことも多いです。配当が入ると給与から生活費に回す金額を減らせるので、結果として投資に回せるお金が増えます。
銘柄単位では配当は動く。だから全体で安定させる
コロナショックのとき、保有していた複数の銘柄で減配や無配転落が起きました。
ポートフォリオ全体の配当が半分になるような事態ではなく、年間で数万円ほど減ったという規模です。それでも当時は不安でした。配当は安定した収入だというイメージを持っていたからです。
慌てて売ることはしませんでした。もともと複数の銘柄に分散していたので、減配した銘柄は業績と財務を確認しながら保有を続けました。
ただ、高配当だからという理由だけで持ち続けるわけではありません。減配の原因が一時的なものか、構造的なものか。配当性向や過去の配当推移を見て、銘柄ごとに判断を変えています。
このときは業績の回復とともに配当も戻ってきました。分散していれば、一部の銘柄の減配が家計への致命傷にはならない。この経験でそれを学びました。
配当が動くのは下方向だけではありません。2026年は当初120万円ほどを見込んでいましたが、増配する銘柄が相次ぎ、140万円を超えそうです。
減配する銘柄もあれば、増配する銘柄もある。だから私は、特定の銘柄の配当を前提に生活設計をすることはしません。見ているのは、ポートフォリオ全体で受け取れる配当が大きく崩れないかどうかです。
複数銘柄への分散と、減配しにくい企業を選ぶこと。この2つで全体を安定させておけば、配当は生活費の柱として当てにできます。FIRE後は実際にそうする予定です。
資産9000万円という自分の数字で配当生活が成立するかどうかは「FIREに9000万円は足りる?配当生活が成立しない理由」で検証しました。
配当生活を目標にすると遠回りになる
高い利回りを追いかけてしまう
一番の落とし穴は、配当を増やすこと自体が目的になることです。
利回り5%や6%の銘柄を買えば、少ない資産でも配当生活に近づける。そう考えて高利回りだけを追いかけると、業績悪化による減配や株価下落で、かえって遠回りになります。
利回り5%でも、それが記念配当による一時的なものなら翌年には消えます。反対に今の利回りが高くなくても、利益を伸ばしながら増配を続ける企業なら、持ち続けるうちに受け取る配当は増えていきます。
見るべきなのは今年の配当額ではなく、この先も配当を出し続けられる企業かどうかです。
資産を増やすならインデックスが有利な場面もある
配当を受け取ることと、株価が上がることは、どちらも資産から得られるリターンです。資産の最大化という点では、インデックス投資の方が向いている場面もあります。
私も高配当株だけにこだわってはいません。オルカンやS&P500といったインデックスファンドも並行して保有しています。
目指すのは配当生活ではなく、まずは年間30万円の配当
配当生活という遠い目標の手前に、年間30万円という通過点を置くと景色が変わります。
配当が増えていく過程で、金額によって感じ方が変わりました。年間20万円前後の頃は、株を持っているだけで入ってくること自体が嬉しかった。ただ、生活を支えている感覚まではありませんでした。
変わったのは年間30万円を超えたときです。私にとっては給与1か月分に相当します。ひと月分の働きで得ていた金額を、今度は資産が生み出してくれた。このとき初めて「お金に働いてもらう」ことを実感しました。
年間50万円を超えると月平均4万円以上の配当収入になります。食費や光熱費といった、毎月決まって出ていく支出の一部が賄えます。給与から払っていたものが、資産から払われるようになる。金額の大小より、この置き換わりが起きたことが大きかったです。
年間100万円を超えた2025年は節目でした。月平均で8万7千円。それでも我が家の生活費45万円のうち2割ほどで、働かなくていい水準にはまったく届きません。
実際、生活そのものは変わっていません。受け取った配当は再投資に回すことも多く、生活水準を上げる使い方はしていないからです。30万円で急に楽になったわけでも、100万円で働かなくてよくなったわけでもない。
変わったのは、株価が下がったときに何を見るかです。
以前は評価額しか見ていませんでした。100万円下がれば、100万円損したという感覚です。今は年間の配当額を見ます。株価が2割下がっても、企業が稼いだ利益から支払われる配当が同じだけ減るわけではありません。
コロナショックがそうでした。株価は大きく下がりましたが、受け取る配当が減ったのは年間で数万円ほどです。株価の下落幅と、生活に入ってくる現金の減り方は連動しませんでした。
資産が生み出すキャッシュフローに目が向くようになると、下落局面でも売らずに済みます。もちろん減配は起きますし、配当が絶対に減らないわけではありません。それでも、評価額だけを追いかけていた頃より、株価の変動に振り回されにくくなりました。
配当額より先に投資元本を見る
年間30万円の配当を目指すとき、最初から1000万円を作らなければと考えない方がいいです。
利回り3%なら確かに1000万円が必要になります。ただ、いきなりその金額を用意できる人はほとんどいません。
私も、まず家計を見直して、毎年いくら投資に回せるかを考えるところから始めました。年間100万円を投資できれば、単純計算で10年で1000万円です。
配当額だけを見るのではなく、投資元本を少しずつ積み上げる。順番はこちらが先になります。
まとめ
- 配当だけで生活するには、年間支出550万円なら2億円を超える資産が必要。税引前の利回りで計算した金額は実態より小さい
- 配当は個別に見れば減配も増配も起きる。特定銘柄に頼らずポートフォリオ全体で安定させることで、はじめて生活費の柱として計算できる
- 目標は配当生活そのものではなく、まず年間30万円。1か月分の給与を資産が生み出す感覚が、その先を続ける力になる
配当だけで生活費に届かない以上、FIRE後は資産の取り崩しと組み合わせることになります。どう取り崩すかは「FIRE後の資産取り崩し戦略|定額・定率・バケツ戦略を徹底比較」で検証しています。
なお、配当を受け取る口座をどこにするかで、非課税枠の使い方や管理のしやすさは変わります。SBI証券と楽天証券を13年使ってきた比較は、近日公開の記事で解説する予定です。
今まだ配当が年間20万円という方も、30万円は遠い数字ではありません。まずはそこを目指してみてください。
